住宅ローン「変動」「固定」どっちが得?大手銀行も17年ぶり引き上げで家計負担増…物件価格は下がる?
■今年4月の最優遇金利と10月の最優遇金利を比べてみると
【4月 メガバンクとネット銀行の最優遇金利(変動型)】 ◎三菱UFJ銀行⇒0.345% ◎みずほ銀行⇒0.375% ◎三井住友銀行⇒0.475% ◎SBI新生銀行⇒0.290% ◎auじぶん銀行⇒0.319% ◎PayPay銀行⇒0.315% 【10月 メガバンクとネット銀行の最優遇金利(変動型)】 ◎三菱UFJ銀行⇒0.345%(4月比±0) ◎みずほ銀行⇒0.375%(4月比±0) ◎三井住友銀行⇒0.625%(4月比+0.15) ◎SBI新生銀行⇒0.420%(4月比+0.13) ◎auじぶん銀行⇒0.479%(4月比+0.16) ◎PayPay銀行⇒0.465%(4月比+0.15) (※モゲチェック調べ) 大手銀行は金利復活を機に、新規顧客を取り戻しに行く戦略に出た。また、金利だけではなく、ペアローンを組む人用に「夫婦連生団信」と呼ばれる保険をつけるなど、新規顧客獲得にむけて競争が激化している。 *連生団信=どちらかに万が一のことがあった場合、両方のローン残高がゼロになる団体信用生命保険
■家計の負担増はどのくらいか
一方、既に住宅ローンを借りている人にとって、どの程度、家計の負担が増すのか。 大手銀行のウェブサイトにあるシミュレーションによると、4000万円の住宅ローンを35年間で借りた場合、毎月の支払額を均等にしてボーナス払いを考慮しないとして、毎月2666円、年間で3万1992円増え、返済総額は111万9720円増えるとされている。 しかし、多くの銀行では、金利が上がっても5年間は返済月額が変わらない「5年ルール」というものがある。ただ、ローンの総額が減るわけではなく、毎月同じ額を支払う場合、そのうち金利の支払い部分が増えるため、最終的な総返済額は増えることになる。
■変動と固定どちらが得?石破新政権で利上げは先行き不透明
それでは今後、金利はどこまで上昇するのか。 まず、住宅ローン金利には、購入時の金利から一定期間変わらない「固定型」と、返済中に定期的に金利が変わる「変動型」があり、現在、多くの利用者が選んでいるのは「変動型」だ。 この変動型は日銀の政策金利に事実上、連動するため、今の状況では固定型よりも金利が低い。ただ、日銀は3月にマイナス金利を解除し、7月には追加の利上げを実施するなど、金融政策の正常化に向けた動きを見せている。 今後も利上げが行われ、変動型の住宅ローン金利も徐々に上昇する可能性があるものの、どのようなペースで進んでいくかは不透明だ。就任したばかりの石破総理も「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言していて、追加利上げに慎重な姿勢を示している。 それでもなお、日銀内からは年内の追加利上げの可能性は残っているという声も聞かれ、先行きは非常に不確実だ。そのため、変動型か固定型かで迷う方も多いだろう。しかし、現時点では「変動型がまだお得」という意見が大勢を占めている。 住宅ローンアナリストの塩澤崇氏によれば、日銀の政策金利が1.75%に達すると、固定金利と変動金利が逆転すると分析されている。現在の政策金利は0.25%であり、ここから6回の利上げを想定して初めて1.75%に届く。しかし、今の国内の経済状況では、そのような大幅な利上げは見込まれにくいと考えられている。また、メガバンクの話では、日銀の利上げ後も住宅ローン利用者の8割以上が変動型金利を選んでいるということだ。