【証言・北方領土】歯舞群島 多楽島・元島民 河田弘登志さん(4)
首脳会談どういう方向に進むのか、冷静に見守っていくことが大事
――政治的な動きで12月15日に、首脳会談があると、そこで、何か話し合われる、何か前進があるのではという話もありますけれども、それに対して、どういう期待を寄せているのか、あるいはどういう方向に今後なると考えているのか、教えてください。 外交ですから、大変難しいものがあることは、もう70年間、重々わかってるんですけども、我々としては、今かなりプーチン大統領と安倍総理との話し合いを積み重ねてきてますし、近年にないくらいやってますね。この機会を必ず実のあるものにしてほしい。もう一歩でも二歩でも前進させてほしいということを願ってますよね。これまで、何かあると期待してました。期待が大きければ大きいほど落胆もまた大きいんですよね。 最近特にそうですけど、私は、あまり騒ぎ立てないで、冷静に見守っていくことが大事だなと思ってんですよ。過剰に騒ぐということじゃなくて、どういう方向に進むのか。そして、私たちが返還運動とか、やるべきことをしっかりやっていく、これが大事だなと思ってます。 ――一歩でも二歩でも進めば、と話しましたが、何をもって一歩、二歩となりますか。 即刻返還につながるかわかんないですけど、何年かかかった後に返還する、あるいは4島あるうちですから、特に返しやすいところから順々でもいいですし。一遍に4つ、明け渡せと言っても、できないところもあるかもしれない。よく2だとか言う人おりますよね。それは私たちとしてはできないです。言えないですよ、組織として。だって、私たちの組織は、四島の出身者、関係者で組織してるんですよ。私のところが返ってくれば、あんたんとこいい、ってそんなことを言えますか。みんなで一生懸命やってきたわけだから、帰りたい気持ちは、みんな同じなんですよ。 ――2島先行とか共同統治とか、いろいろな可能性が言われるわけですが、あくまで連盟としては、四島一括返還が目標。 私たちの目的はね。けれども先行して、順次、何年後にはどこ、そういうスケジュールのもとでやるんだら、それでもいいんですけど、「ぽっきり」とかっていうことになると、帰れないところをどうすんだ、とかっていうことになるでしょうね。 ――12月15日の首脳会談は期待してますか。 期待してますよ。これまでも、何かあると期待はします。われわれは明日にでも返ってきてほしいというところを常に考えながら運動しているわけですね。私は12月1日の東京のパレードに、一番最初のときから行っているんですよ。第1回目、新宿の東京都庁の所まで行ってね、人もいないところ。1回目そうだったですよ。2月の4日。 ――何年前ですか。 10年前、同じ年、年度にすると9年ですよ。2月やって12月。で2月6日やったんです。なんで6日にやったかというと7日はやっぱりこっちでやらなきゃいけない。北方領土の日。だから私も2月6日やってすぐに千歳までなんとかきて、千歳の駅に夜行列車あったですから、12時過ぎ1時ぐらいまでいて夜行に乗って、ここに6時過ぎについて会場行った。まだ今より10歳も若いころですからね。そのとき支部長やっていたんですけど、自費でもいいから東京行って、なんかやった方がいいって意見出たんです。そう簡単に言ったって、いざやるってなって大変でしょう。 ――体力的にですか。 体力的にもお金も、自費と言ったってね、あのころでも10万円以上かかりますからね。今だって何万ってかかりますから。ですからやるようになって、他の人は別にしても私は観続けなきゃなんないなって、自費参加した。