日本企業は倫理資本主義を実践できるのか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(3)
日本とドイツは基本的に同じリーグでプレーしていますが、私たちが特定の規模で活動するのには理由があります。この特別なケースにおいて、日独両国は現在、非常に明確に自由民主主義にコミットし、政治的に良好な状態で、自由民主主義に関する問題もまったくありません。 自由民主主義を支持する議論はいくらでもできます。両国のかつての歴史に比べれば、倫理的にもいい状態です。私たちは今、真の有志連合を結成する必要があります。そのうえで、すべての自由民主主義国家、フランス、イタリア、北欧諸国、アメリカ、イギリス、そして、特にアフリカとラテンアメリカにも広げて、チームをつくればよいと思います。
これは大きなNATOをつくるといった地政学的な目的ではなく、現代資本主義を倫理的エンジンに変えるための経済的チームであり、そこに加わるよう、他の国を説得するのです。 その意味で、日本は絶好の場所だと思います。日本には非常に知的なビジネスの世界があります。特に素晴らしいと思うのが、思考とビジネスが非常に興味深い形で絡み合っているところです。非常に思慮深い経済学者もいます。だから、私は個人的に特に日本とドイツが協力することに大きな期待を寄せているのです。
■政府にも果たすべき役割がある 名和:私は現在、京都先端科学大学のビジネススクールで教えていますが、京都は日本の知力の中心地だと思います。日立の東原敏昭会長やNTTの澤田純会長なども京都の大学をよく訪れ、京都は優秀な実務家と教育機関の集積地となっていますが、政府から離れています。政府も倫理資本主義において何らかの役割を果たすべきだと思いますか。 ガブリエル:もちろん、そこには政府も必要です。現実の倫理資本主義では、経済界は自ら組織化し、規制緩和の条件を整備する際に政府を支援します。そのためには新しいビジネスモデルが求められ、私たちが今行っていることを抜本的に改革しなくてはなりません。また、政府を説得し、民主的な行動領域に目を向けてもらいます。