東京、うまい蕎麦屋「ベスト4店」…天ぷら絶品、コシしなやか《御茶ノ水・蔵前・三軒茶屋・六本木》で覆面調査で発見
自慢の薫る麦を手繰る。蕎麦前を楽しんだあと蕎麦をすする。麦にはいろんな味わい方がある。 【写真】ぶた肉がドンっ…東京のうまい蕎麦屋「ベスト4」 夜は少し背筋を伸ばして気鋭の新店やごちそう感あふれる蕎麦などを。昼は肩肘張らずに味わいたい町蕎麦や立ち食い蕎麦などを徹底リサーチ。時間帯や使い方、さらには気分に合った自在で自由で粋な蕎麦活を始めてみませんか?
御茶ノ水『明神下 蕎麦 おしん』
蕎麦の美しさは職人の腕前、ひいてはその味わいに直結する。切り口も冴え冴えとした極細のせいろをそっと箸で持ち上げたぐってみれば、凛々しいコシの後からふくよかな甘みが広がった。 粗挽き粉十割の田舎蕎麦だって粋な風情の細切りだ。温蕎麦に目を向ければ、やや太めの九一を使い、もっちりとした心地良い弾力の後から香りがふわり。 そんな蕎麦たちを丹精込めて打つのが店主の黒崎さん。芦屋や池尻大橋の『土山人』で長年経験を積んだ、確かな職人だ。 もちろん蕎麦前だって歯ざわりも小気味良い「蓮根饅頭」に、じっくり染みた味噌の風味が日本酒を呼ぶ「大山鶏西京焼き」をはじめどれも上々。こんな店で酒盃を片手にゆるゆる過ごす夜は、なんと気分がいいものか。
蔵前『黒猫庵』
ここはワインバーかビストロか?テーブルにはめ込まれた石臼がなければきっとそう思うに違いない。それでも「目指すのは気兼ねなく寛げる町の大衆蕎麦屋」と店主の長谷川さん。 とはいえ、そこかしこに令和のエッセンスもきっちり盛り込んだ。夫婦で酒好きというアルコールの揃えは和酒のみならずワインやスピリッツまでジャンルレス。 つまみの筆頭が通年で置く生牡蠣で、和え衣にクリームチーズを使うキウイの白和えなんかも面白い。蕎麦前をじっくり堪能したら〆へといこう。 十割で打つ蕎麦のコシはしなやかで麺肌のほのかなザラつきにツユがしっかり絡みつく。さらに青い風味がダシと見事にマッチした「ピーマンせいろ」といったオリジナルの蕎麦にも目を見張るはず。
三軒茶屋『手打蕎麦 里り』
店主・野村さんは前職がアパレルというちょっと異色の経歴の持ち主。人生の第2ステージに選んだのが子供の頃から好物の蕎麦だった。修業先は味と歴史に惚れ込んだ『神田まつや』。伝手は一切なしで長文のラブレターを送って厨房へすべり込んだと笑顔で話す。 野村さんが蕎麦作りで最も大事にすることは「季節を問わず味を一定に保つこと」。 それがいかに難しいことか。産地や収穫時期が変われば食感や風味に違いが出る。わずかな誤差を無くすため複数の粉をその特性に応じてブレンドし、味をキープし続けているという。 切り口がピンと立った蕎麦をすすってみれば奥歯でコリっと音が響くほど端正なコシ。そこへ継ぎ足してまろみを帯びたかえしのツユがぴたりと寄り添ってくれる。
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