年収103万円の壁とは?106万、201万6,000円の壁も…現在の制度で、共働き家庭が損をしないための働き方を専門家が解説
◆「働き方」を上手にコントロールしよう 年収が106万円を超えると、健康保険、厚生年金などの社会保険に加入しなければならなくなります。 106万円を超えると、妻は夫の社会保険の扶養から外れ、自分が働いている勤め先の社会保険に入らなければなりません。そうなると保険料が給与から引かれるのです。 働いている会社の従業員数が51人以上で、年収が106万円(月額8万8000円)を超え、1週間20時間以上の勤務体制だと、健康保険に加えて厚生年金に加入しなければならなくなります。これが、厚労省は、現在は、年収ベースを撤廃し、20時間を超えた場合のみの条件を維持する方針を固めています。全国の最低賃金が上がったため働き控えがおきたためです。 これにより、傷病手当金や出産手当金、将来の年金受給額は増えますが、毎月の手取りは減ります。 結局、手取りで計算すると100万円以下に抑えておいたほうがよかったということもあり得るのです。 例えば、住民税に加えて、106万円から社会保険料(健康保険・厚生年金)が引かれて手取りは90万円余りになるケースもあります。社会保険料は給与の14%ほどと高額です。 しかも、健康保険に関しては夫の健康保険の扶養になって、自分の負担をなくすほうが得になることも多いのです。 自分で厚生年金に加入すれば、将来の年金受給額が増えます。政府は現在、段階的に国民年金だったパートの人にも、厚生年金に加入するように促しています。 また、130万円を超えると、どんな企業に勤めていても自分自身で社会保険料を払わなければならなくなります。
◆201.6万円の壁にも注意 ここまで100万円、103万円、106万円と3万円ずつ増加することで、それぞれ住民税や社会保険料などが引かれていく説明をしましたが、今度は年収201.6万円の壁に気をつけましょう。これは配偶者特別控除が受けられる年収の壁です。 年収が増えることで段階的に控除される額は減少し、妻の年収が201万6000円を超えると、配偶者控除そのものが受けられなくなります。 ということは、この分だけ夫の課税所得が増える、つまり税金が高くなります。もしパートで働くなら、この金額を年収の最大値として意識するといいでしょう。 また、働く会社が従業員数51人以上の会社であるかどうかでも異なります。 健康保険、厚生年金の加入の必要性があるかどうかも、よく確認して年収を決め、働く時間や働き方も考えるといいでしょう。 ※本稿は、『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
柏木理佳