年収103万円の壁とは?106万、201万6,000円の壁も…現在の制度で、共働き家庭が損をしないための働き方を専門家が解説
所得税がかかるボーダーラインを表す「年収103万円の壁」という言葉に注目が集まっています。共働き夫婦にとって避けては通れない<お金の悩み>について、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは「夫婦生活はお金がかかる。だからこそ『話し合い』や『見える化』しないと、共働きでもお金は貯まらない」と指摘します。そこで今回は、柏木さんの著書『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』から「年収の壁」について解説します。 【図】一目でわかる!100万円、103万円、106万円、130万円の壁……それぞれの壁の注意点は? * * * * * * * ◆損しないように働く知恵を身につけましょう 「働く時間を増やすべきか」という悩み 子供が小さい時、誰もが悩むのが「働く時間を増やすべきか」という悩みです。 家にずっといるとストレスが溜まりますし、支出が増えているなら、その分だけでも稼いだほうがいいでしょう。 でも問題は、働いても、その分がちゃんと入ってくるのか、税金や助成金などを考えると、かえって損をすることもあります。 場合によっては、損をしないように仕事を休むわけですが、企業としては、例えば師走の忙しい時に、パートに休まれては困ります。 そのため厚生労働省は、「年収の壁・支援強化パッケージ」として、130万円、106万円の年収の壁によりパートの社会保険料を多く払わなければならない企業に対して、一人あたり10万~50万円の助成金を出しています。 育児や介護などで、パート勤務があまりできない時期もあるかもしれませんが、勤務時間を計算することは大事です。 区立幼稚園などでは、所得に応じて助成金が出ることが多いので、勤務時間を把握して収入を計算できるようにしておくのです。中途半端にパートの時間を増やすと、配偶者控除や配偶者特別控除が受けられず、かえって損をします。
◆100万円、103万円の壁とは? 損しないように働くために知っておいてほしいのは、まず、配偶者控除、配偶者特別控除は、夫か妻の所得が高いほうの所得が1000万円以下の場合で、パートナーではなく配偶者として籍を入れている必要があるということです。 次に気にしてほしいのは年収100万円です。100万円以下は住民税が非課税です。年収から給与所得控除55万円を差し引いた額が45万円以下であれば住民税が非課税となります。 つまり、100万円を超えると住民税が課税されます。税額は地域によって異なりますので、お住まいの市区町村にお問い合わせください。 「100万円以下だと住民税がかからない」と覚えておくといいと思います。パートの人もこれを計算して年末ギリギリの12月のシフトを減らす人もいます。また、住民税非課税世帯だと、いろいろな助成金で有利になります。 次に3万円増えて、103万円の数字を覚えておいてください。これは「妻の所得が103万円以下ならば、夫が配偶者控除を受けられる」ということです。 つまり、妻の年収が103万円以下の場合は、夫に配偶者控除48万円が適用になり、この分の夫の税金が安くなります。また、妻自身の分の所得税もかかりません。 なので、税金のことを考えると103万円の年収を超えないように働くのが理想なのです。 しかし、たまに年末にシフトが増えていたり、売り上げがいい月に、ボーナスとして特別支給があったり、食事代を手当としてつけたりしてくれる場合もあります。 そうなると、せっかく計算して103万円以下にしたのに、無駄になってしまいます。