生成AIで請求管理を効率化 データで予測できる「与信管理の未来」とは?
業務の中でもとりわけ煩雑な決済業務。この効率化と決済データを活用した予測モデルの構築という先進的な挑戦が始まった。 【写真で見る】24歳! neoAI社千葉CEOの経歴と写真 20年以上にわたって企業の決済データを蓄積してきたノウハウと、定期課金システムに優位性を持つROBOT PAYMENT(ロボットペイメント、東京都渋谷区)と、東京大学松尾研究室発のスタートアップで、生成AIに特化したサービスを民間に提供しているneoAI(東京都文京区)が業務提携。この挑戦と計画を実践しようとしている。 ROBOT PAYMENTの清久健也社長と藤田豪人執行役員、neoAIの千葉駿介CEOに、生成AIを活用する狙い、将来的に企業の請求管理業務がどのように変貌するかを聞いた。
多岐にわたる請求管理 与信予測モデルの仕組みとは?
企業の請求管理業務には、購入者の顧客管理、購入者の中でどの顧客が支払いをして誰が未納なのかをチェックする突き合わせ(消し込み)、支払いをしていない顧客に対する督促など幅広い仕事がある。これを怠ると、売り上げの減少にもつながり、企業の活動に勢いがなくなるため、最も重要な業務の一つだ。企業の拡大と比例して、受注企業への請求管理件数も増加するので、人件費が増大するという課題も生まれやすい。 こうした業務をROBOT PAYMENTのような決済システムを提供する企業に委託すれば、人手の掛かっていた請求管理業務から開放されて、コストも軽減できるメリットが生まれる。 同社は、請求管理業務の自動化サービスを推進している企業だ。今回neoAIと業務提携することによって、個社ごとに与信予測ができるモデル作りに挑む。2000年設立の同社は、2021年9月に東京証券取引所のグロース市場に上場した。年商は約22億円で、顧客数は8月14日現在で9167社。顧客の中には毎日新聞社、産経新聞社、プレジデント社などマスコミ関係の企業も含まれていて、新聞購読のように月ぎめで料金を請求する定額課金の決済サービスを得意としている。 これまで、請求管理業務の中の一部については会計ソフトなどが販売されてきたものの、請求管理の業務フローを一気通貫で管理できるシステムはなかった。これをいち早く手掛けてきたのがROBOT PAYMENTだ。サブスクペイと呼ばれる定額課金サービスを、20年以上にわたって手掛けてきた。対象となっているのは新聞社や塾など中堅中小企業が多い。 主に請求から催促まで任せられる決済代行サービス「請求管理ロボ」も、10年間手掛けてきた。枚数にして8万枚もの請求書データを保有しているという。このサービスには、事業者が保有している売掛債権などを期日前に一定の手数料を徴収して買い取る「ファクタリング」を活用できるシリーズもあり、ビジネスとしての広がりが期待できる。 一方、2022年に東大の松尾豊研究室の学生が立ち上げたneoAIは、日本企業の持つ豊富なデータを生成AIで実務に使えるように落とし込み、企業の業務効率化を目指している。現在の顧客はゆうちょ銀行、岩手銀行などの金融機関に加え、電力会社などインフラ系の企業だ。これらの企業に生成AIを使ったサービスを提供してきた。