バイデン大統領がUSスチール買収禁止命令。日本製鉄、きょう会見へ「米国事業拡大、諦めず」
日本製鉄は、米国鉄鋼大手のUSスチール買収に対しバイデン大統領が禁止命令を出したことを受け、7日にも会見する。日鉄とUSSは先週、今回の命令を「米政府による不適法なもの」とし「法的権利を守るため、あらゆる措置を講じる」との共同声明を発した。これまでの取り組みや正当性、米政府を相手取った提訴などを説明するものとみられる。 現地時間3日、ホワイトハウスは国防生産法721条に基づき買収を禁止するとの大統領命令を発表。対米外国投資委員会(CFIUS)によって期限が延長されない限り、命令から30日以内に買収提案を完全かつ永久に放棄するよう求めた。バイデン大統領は声明で「米国内で所有および運営される強力な鉄鋼業を持ち、現在と将来にわたる国力の源とするのは大統領の責務だ」とした。 日鉄とUSSは3日に出した共同声明で「CFIUSの審査プロセスが政治によって著しく適正さを欠いていたことは明白。実質的な調査に基づかず、バイデン政権の政治的目的を満たすため、あらかじめ決定されたものだった」と反発。USSの生産能力を10年間削減しないなど自主的に提示した4つの国家安全保障協定案に対し「CFIUSは書面でのフィードバックを全く行わず、問題解消措置も適切に検討することがなかった」と深い失望感を示した。 6日の年頭挨拶で日鉄の今井正社長兼COOは「米国事業の拡大を決して諦めない」と表明。「1億トン1兆円ビジョンの実現をマイルストーンに世界の競合他社に打ち勝っていくには、重要な戦略地域を中心とした海外事業の拡大が不可欠だ」とし、米国について「技術力が生かせる成長市場という位置づけは不変」と改めて強調した。 バイデン大統領による買収阻止命令は、日本政府でも波紋を呼んでいる。武藤容治経済産業相は「国家安全保障上の懸念を理由として、このような判断がなされたことは理解し難く残念」とし、日本の産業界から対米投資への懸念が上がっていることを受け「CFIUSのプロセスによる今回の判断に関する説明も含め、懸念の払拭に向けた対応をバイデン政権側に求めていく」としている。