フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに
走り ★★★★★★☆☆☆☆
見当違いなのかもしれないが、2024年の英国市場においてディーゼルはややダーティなイメージが拭えずにいる。ティグアンのようなSUVに関しては、そうあるべきではないとわれわれは考える。そして幸いにも、フォルクスワーゲンはディーゼルをラインナップから外さなかった。 それでも、多くのユーザーはガソリンのマイルドハイブリッドを選ぶだろう。ディーゼル並みの推進力やトルク、そして経済性を、社会的な要求に応えつつ得られると期待されるからだ。 少なくとも、ティグアンのeTSI 150のパワープラントについては、そうした折衷をある程度満たしてくれる。それでも、そこそこ大きく、万能性が求められ、ハードに使われるファミリーカーには、ディーゼルのほうが合っているように感じられる。 この問題をカバーするべく、7速DCTの低めのギアは、とくに低めのレシオとされているが、それでもすぐに使えるトルクは不足気味だ。そのため、動力性能の数値もパッとしないものとなっている。0-97km/hは9.4秒、48-113km/hは9.2秒。まずまずではあるが、4気筒ディーゼルのメルセデスGLB220dやハイブリッドのキア・スポーテージはそれより2秒ほど速い。 日常的な普通のドライビングでは、パワートレインは満足できる。市街地でも郊外でも十分速く、高速道路でもティグアンの重量をしっかり引っ張ってくれる。ただし、ちょっとばかり無理をしている感じは否めないが。強めに加速するには回転を上げる必要がある感じで、その回り方に特別エンスー心をくすぐるようなものはない。 欠けているのは、積載量が多いときや牽引時に必要な固定ギアでの強い余力で、万能性のあるファミリー向けSUVに求められるであろうものだ。それでも、通勤や通学、ショッピングに使うのが主であれば、たいした欠如とはならないはずだ。 いっぽうでギアボックスは、負荷の小さい日常使いで自動変速任せにしているとスムース。しかし、パドル変速ではダウンシフトがややスローで気乗りしない感じだ。また、低速での取り回し時には、必ずしも断続がなめらかではない。フォルクスワーゲンのDSGとしては、十分に洗練されているとは言い難い。