いよいよ1月5日から。2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』(NHK)を支えるスタッフにインタビュー vol.1【吉原風俗考証担当の時代考証家・山田順子さん】
―<大河ドラマで吉原を描く>ということについては? 「主人公に蔦屋重三郎を選んだのだから。そこで生まれ育った人を描くのに、吉原だからダメよ、ということはないですよね。出てくるのならなるべくリアルにやりましょう、ということです。美化もしません」 ―オファーのきっかけはどのようなものでしょう。 「私、脚本の森下佳子さんとは一種の盟友なんですよ。彼女が書く時代劇の多くの作品で時代考証しているし。彼女が書くと言ったら無条件で、ってわけでもないですけど。実は吉原はかねてから彼女と私との間のテーマで。以前江戸時代を描く『JIN―仁―』(TBS系)というドラマで一緒に仕事をしたんですが、2年くらい前に、今回の大河とは関係なく『もういちどきちんと吉原を描きたい。今までにない吉原を描きたいね』という話をしていました。今回のお話は近世美術史考証を担当されている松嶋雅人先生の、森下さんと私が描く吉原を見てみたいというご推薦なんです。台本を読んだけど、相変わらずのいい台本ですよね。キレがあって言葉に深みがあって。ここで一発、ってところでのセリフがいい。うん、いい調子、いい調子、これだよね!と思っています」 ―当時の吉原の女性たちはどのように生きていたのでしょう。 「森下さんと最初に話していたのは、『しぶとくて強い女を描こう』。吉原の女たちは地方出身者も多く子どもの頃に売られてきたり、病気で死ぬ人も多かったりして、人身売買の被害者です。けれどその中で、自分の力だけで顧客を引っ張って商売をして借金を返し、身請けをしてもらったり、店に残って経営に参加する者もいる。それって全部女の実力じゃん!って。悲惨な場面も登場しますが、彼女たちなりにいきいきと生きているわけで、メソメソしてばかりではない。 悲劇の被害者ではありますよ。27歳で年季が明けるまで吉原から出られない。これは彼女たちだけの話ではないんです。当時の武士だって自由に藩から出られないわけで。みんな身分社会の外には出られないんです。その中でどういうふうに生きるか、ですよ。自分の運命を知りながら、ちゃんと出ていって次に行こうとする。吉原の女たちのそういう強いところが描きたいですね」 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』 2025年1月5日(日)放送開始〈初回15分拡大〉 NHK総合20時~ (BSP4K では12時15分~・18時~、BSでは18時~) 主演・横浜流星(蔦屋重三郎役) 脚本・森下佳子
山田順子 さん やまだ・じゅんこ 吉原風俗考証担当 1953年広島県生まれ。時代考証家。多くの番組の時代考証と構成、また歴史クイズの出題や構成も行っている。代表作は『JIN―仁』『一休さん』『天皇の料理番』『この世界の片隅に』など。
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