「刺激しあえた仲」巨人・坂本が菅野の“エール”にV字復活決意 19年以来2度目MVPへ「そういう気持ちで頑張ります」
巨人の坂本勇人内野手(35)がメジャー挑戦を表明している菅野智之投手(35)の言葉に応え、来季、V字回復を遂げる。都内のホテルで28日、「第53回三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式に出席。その後、静岡・熱海市内のホテルで行われた球団のシーズン納会に参加した。今季、15勝を挙げて復活のMVPを獲得した菅野から「(来年のMVPは)勇人さんに取ってほしい」と切望された背番号6は、苦楽をともにしてきた盟友の“エール”を力に変えて、MVP級の活躍を目指す。 【写真】ゴールデン・グラブ賞を受賞し、表彰式に出席した坂本 坂本は胸を熱くしていた。今季のMVPに輝いた菅野が26日に来年のMVPについて「僕は勇人さんに取ってほしい」と願った。投打の柱としてともにチームを引っ張ってきた1学年下の右腕からの“エール”は心に響いた。記事などで見聞きしていた坂本は「ね、(言っていた)みたいね」と少し頬を緩めた後に、来季への決意を込めた。 「野手とピッチャーで違いますけど刺激しあえた仲なので、そうやって言ってもらえるのはうれしいしね。そういう気持ちで頑張ります」 再起への思いは強い。今季は打撃不振で2軍調整を経験するなど109試合の出場にとどまった。打率2割3分8厘はプロ入り後ワースト。本塁打も7本に終わった。「打球が飛ばない。いい状態が続かない」。悩み抜いた1年だった。華麗な守備と勝負強さは健在なだけに、打撃復活がテーマになる。「いつもと違うトレーニングをしたりしている。それが結果に結びつくかは分からないけど、いろいろやりたい」。体づくりから見直すなど、やれることは全てやる覚悟だ。 12年間、苦楽をともにしてきた菅野の言葉に奮い立たないはずがない。菅野も昨季は4勝(8敗)と苦しんだが、今季15勝(3敗)を挙げMVPを獲得。見事なV字復活を果たした姿を坂本は間近で見てきた。「別に驚きもない。何年もずっといい人なんてほんとにいないと思うんで、僕は何も別に驚いてはないですね」。不断の努力や底力を知っているからこそ、活躍に驚きはない。その菅野は今オフにメジャーに挑戦することになっており、「向こうで活躍している姿は僕らにも刺激になる」。力に変えて、自身も輝きを取り戻す。その先に打率3割1分2厘、40本塁打を放ってリーグ優勝の立役者となった19年以来2度目のMVPが見えてくる。 三塁では初受賞となったゴールデン・グラブ賞の表彰式では「目標にしていたのでうれしい」と声を弾ませた。ただ、満足はもちろんしていない。「来年は日本一になって、この賞(ゴールデン・グラブ賞)を取って、もうちょっと打って頑張ります」。12月14日で36歳になるが、このまま終わるつもりはない。決意新たに挑む19年目の来季、通算2415安打のバットマンが鮮やかによみがえる。(宮内 孝太) ◆坂本の2019年 14年以来5年ぶりに全試合出場し、打率3割1分2厘、ともに自己最多の40本塁打、94打点。セ・リーグMVPでは有効投票数299人中261人の1位票を獲得し、初受賞。遊撃手としてはセ初、両リーグ合わせても3人目の快挙となった。令和元年のこの年、チームには広島から丸がFAで加入。投手では山口俊が最多勝など3冠に輝き、14年以来5年ぶりのリーグVを達成した。 ◆記録メモ 昨年4勝8敗の菅野(巨)が15勝3敗。勝ち星を大きく増やして4年ぶり3度目のMVPを受賞した。同じく前年の不振から脱却してMVPを受賞した選手に長嶋茂雄(巨)がいる。67年は入団10年目で初めて打率10傑入りを逃し、代打を送られる打席もあったが、翌年は打率・318の39本塁打に125打点。この年から3年連続の打点王にも輝いた。 他には88年に死球で左手を骨折し49試合の出場に終わったクロマティ(巨)が、89年に打率・378。左肘痛で09年4勝5敗の和田毅(ソ)が10年17勝8敗。最近では左足の肉離れで19年38試合の柳田悠岐(ソ)が、20年に・342の29本塁打など、前年の故障から復帰して受賞の例がある。
報知新聞社