著名音楽家招き22年、文化公演自主事業に終止符 最後の出演者はピアニスト・小山実稚恵さん/京都府福知山市
日本を代表するピアニスト、小山実稚恵さんのピアノリサイタルが17日、京都府福知山市中ノの市厚生会館で開かれた。著名な音楽家を招く福知山市文化公演自主事業(実行委員会主催)で、開催は今回が最後。重厚で磨き抜かれた美しい響きが会場を包み、22年にわたって取り組んできたコンサートに終止符を打った。 コンサートは、市民に良い音楽を聴いてもらおうと、市との共催で2002年からスタート。今回は、同事業に2回出演したことがあり、名だたるコンクールの入賞経験を持ち、17年度に紫綬褒章を受けた小山さんを招いて、「ありがとうコンサート」と題して開催した。 ステージに上がった小山さんは、仙台市出身で、東日本大震災の被災地の子どもたちを支援するコンサートを続けており、水害が多い福知山市への思いも語って「シリーズ最後ということで感謝の気持ちを込めて演奏したい。楽な気持ちでピアノを楽しんでもらえたら」とあいさつ。 プログラムは全曲ショパンで、「ノクターンop・9-1、2」「英雄ポロネーズ」「ピアノ・ソナタ第3番」など、珠玉の名曲を弾き、アンコールでは「ワルツ」を3曲披露。 繊細な弱奏からダイナミックな強奏まで幅広く表現し、まるでオーケストラかのような多彩で味わい深い音色に、訪れた約800人がうっとりと聴き入っていた。 同事業最後の出演者となったことについて尋ねた両丹日日新聞社の取材に対して、小山さんは「度重なる水害や避けようのない自然災害をも受け入れ、バネにし、はねのけて続いてきた福知山のまちと音楽界を応援します」と、エールを送るコメントを寄せた。 尾松祐子実行委員長は「普段クラシック音楽になじみのない方でも、今回の演奏を聴いて心を豊かにされたのが伝わる感想をいっぱい頂けた。これまで、その年ごとに福知山の人にどういう音楽に接してもらいたいかを考えて活動してきましたが、みなさんに支えられて続けることができました。本当にありがとうございました」と話していた。