サブカル文脈から読み解く2010年代以降のアイドルシーン、BERLING少女ハートとゆるめるモ!
音楽的チャレンジの多いグループ、BELLRING少女ハート
rainy dance / BELLRING少女ハート 田家:流れているのはBELLRING少女ハートの「rainy dance」。2014年の2枚目のアルバム『UNDO THE UNION』の曲ですね。シングル『EPEP』というタイトルのシングルでもあるんですね。 西澤:はい。これはBELLRING少女ハートのもう1つの側面としてある、激しいロック。ライブですごくお客さんも盛り上がるという側面もあって、それを代表するようなロック曲。あと、1番が終わった後にギターの速弾きがあって、ボサノヴァ調に変わるという。ロック曲なのにさまざまな要素が入っているところもおもしろいし、歌詞で「ずぶ濡れた心は脱ぎ捨てられない」とか、「私、中指を噛む癖 なおせない」っていうのも、いい。 田家:あなたが噛んだ小指が痛い~♪っていう名曲があるんですけど、「私、中指を噛む癖 なおせない」というのは、歌謡曲の殺し文句ですもんね。 西澤:こういう歌詞ってアイドルの楽曲でほぼ聴いたことないですね。しかも、歌っているのはさっき申し上げたような少女っぽいというか、ゆらぎのある女の子たちの声で。いろいろな要素のバランスが整っているのか、整っていないのかわからないんですけど、同居しているおもしろさがあるので、この曲はすごく好きですね。 田家:アルバムを聴いて、この曲の後に入っている「Orange Slumbers」という、これはサイケなんだけれどもラップが入っている不思議な歌でしたね。「プリティ・シャロウ」、「月の真下でオオカミさんに尋ねました。」これは民族音楽っぽかったんですよ。 西澤:とにかくいろいろな音楽ジャンルを取り入れていて、今回は紹介できないんですけどジャズを取り入れた曲もあったりする。それこそ、ダンス・ミュージックを入れた曲もありますし、かなり音楽的チャレンジの多いグループかなと思いますね。 田家:それは田中紘治さんのやりたい音楽なんですかね。 西澤:田中さん自身がもともと北海道の方で、DJみたいなことをしていたらしくて。そのときはどちらかと言うとダンス・ミュージックとかだったみたいなんですけど、そこからいろいろな音楽を聴くうちに、こういうものをやりたくなったんじゃないかなとは思います。 田家:それをももクロが火を点けちゃった(笑)。BELLRING少女ハートの1枚目のアルバム『BedHead』は最初配信で発売されて、配信したのがOTOTOY。 西澤:音楽配信サイトのOTOTOYで、当時、僕も働いていたんです。最初にBELLRING少女ハートを見たときに、すごいグループだなと思って、ライブ録音をさせてほしいとお願いして、ライブ音源を録らせてもらったんですね。配信サイトなのでそのままOTOTOYで配信したという経緯があって。そのときはまだアルバムも出ていなくて、ファンの方からもいつ出るんだっていう声が多くて。田中さんはこだわりが強い方なので、アルバム制作に時間をかけていて。パッケージの完成までまだ時間がかかりそうなので、先に音源を配信したいということで、OTOTOYで配信させていただいたら、ものすごい反響があったという。 田家:ビデオの衣装も全員黒だったりして、どんなライブをやっていたんだろうと思ったのですが、この曲の後にお聴きしようと思います。