味も見た目も妥協しない! インドへのリスペクトが詰まった味わい深く美しいカレーのギフト。
今回紹介する手土産は、日本の国民食とも言えるカレー。特に夏はスパイスの利いたカレーが無性に食べたくなる。私自身もすでに約100軒のカレー店を食べ歩き、とあるWebメディアに連載記事を書いていたほどの無類のカレー好きで、今もなお行脚は続いている。驚くほど多彩なカレーのバリエーションに加えて、こだわりの店主が多いことも、カレー店の“あるある”だ。 東京・世田谷区の桜新町で「砂の岬」を営む鈴木克明さん、有紀さん夫妻もかなりの強者で、店で提供するすべてのものに妥協を許さない点では右に出る者はいないだろう。カレーの味の追求はもちろん、チャイやコーヒーなど、口にするものすべてが素晴らしい。盛り付けなどの見た目にも徹底的にこだわり、その美しさにも感動させられる。加えて、店内のインテリアからオリジナル商品に至るまで、あらゆるものに砂の岬クオリティを貫いているのだ。 その砂の岬が2年前にオンラインショップを始めた。きっかけは10周年を迎えた2020年、コロナ禍の真っただ中に、食べる場としての店の意味や、サービスの重要性、生活スタイルの変化をより深く考え、また新たなことにもチャレンジしたいと感じたこと。「考えるきっかけはコロナ禍でしたが、しかたなく始めたことではなく、外出もままならないお客さまに、なんとかおいしいインド料理を届けたいという一心でした。」と鈴木さん。 味を追求するなかで、レトルトではなく、冷凍という方法を選び、食材を包むパックにも、冷凍方法や保管方法にも徹底的にこだわった。とにかくスペシャルな時間を味わってほしいとパッケージは、オープン当時から信頼しているFJDの藤田二郎氏にデザインを依頼した。 単品のカレーやセットメニューなど種類は豊富だが、初めてのギフトなら、西インドの都市の名のついた「Recipe from【MUMBAI】ムンバイのセット」がイチ押しだ。本場ムンバイに今も残るクラシックなレストランのレシピを中心に「マトンキーマ」「チキンキーマ」「マサラフライ」の3品と、ふんわりとした食感の超長粒米バスマティライス、インドとスリランカの茶葉をシーズンごとに配合を変えて丁寧に煮出したチャイがセットされている。食べ方も詳しく書かれているが、基本はお湯で温めるだけで完結する。 カルダモンやクローブ、シナモンなどのスパイス感強めの「マトンキーマ」、玉ねぎとカシューナッツのほのかな甘さとコリアンダーやミントの爽やかな香りが絶妙な「チキンキーマ」、ココナツベースのグレイビーで鶏モモ肉をじっくりと煮込んだチキンカレー「マサラフライ」は、どれも感動ものだ。そして特筆すべきがチャイ。こんなにもおいしいチャイが湯煎するだけで飲めるなんて驚くばかりだ。 インドの雰囲気を味わってほしいとバナナの葉をイメージしたランチョンマットも入った、まるで宝箱のようなギフト。鈴木夫妻がインドで見て、聞いて、感動したことのひとつひとつがすべてに表現されている。自宅にいながら、レストランに来たのと同じような体験ができる、飛び切りおしゃれなカレーBOXを贈ってはいかがだろう。 砂の岬 東京都世田谷区新町2-6-14 営業時間/モーニング9:00~、ランチ11:00~15:30、カフェ14:30~16:30 定休日/月・火・水(インド出張のため年数回長期休みあり。Instagramにて要確認) 価格/Recipe from【MUMBAI】ムンバイのセット5500円 ※税込み・送料別。毎月月初めより注文可能、数量限定 問/080-4248-7720 https://www.sunanomisaki.com/ 熊野由佳 ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーランスに。旅、食、ときどきファッションをテーマに、雑誌やWebに執筆中。無類の食べもの好きであり、B級グルメからミシュラン星付きまで、自分の納得した店だけを紹介する「実食主義」を貫いている。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。
朝日新聞社