三笘薫がもしプレミアリーグのビッグクラブに移籍するなら... 最もフィットするのはマンU?
【左ウイングバックは深刻な人材難】 今、最も三笘がフィットするクラブはマンチェスター・ユナイテッドだ。11月11日に新ヘッドコーチ(HC)に就任したルベン・アモリムは3-4-3(3-4-2-1)の使い手であり、日本代表と同じ基本陣形である。 しかも、三笘が得意とする左ウイングバックは深刻な人材難だ。ディオゴ・ダロトはプレーが軽く、ファイナルサードで決定的な仕事が期待できない。心身の疲弊により昨シーズンを棒に振ったタイレル・マラシアは、前半なかばで大きく口を開き、肩で息をする始末だ。 また、レギュラー候補だったルーク・ショーは、ふくらはぎの故障を繰り返してばかりいる。サウサンプトンからユナイテッドに移籍して11年、年間を通じて戦力になったのはわずか4シーズンしかない。 ヌサイル・マズラウィ、リサンドロ・マルティネスも左ウイングバックに適応できるが、前者は3バックの右センターバック、後者は左センターバックが適任だ。 アモリムHCも「左サイドバック、あるいはウイングバックは必要」と語っているため、いくつかのメディアはフラムのアントニー・ロビンソン、ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズのラヤン・アイト=ヌーリ、ボーンマスのミロシュ・ケルケズなどを獲得候補に挙げていた。 ウイングタイプのアマド・ディアロが右ウイングバックに定着する公算は大きい。したがって、左サイドはバランスを維持するため、対人の守備に定評のあるロビンソン以下の3選手という観測だ。 ただ、プレミアリーグの過密日程を乗りきるためには、左サイドにも強力な武器が必要だ。ショーとダロトは前述したとおりで、アレハンドロ・ガルナチョは4-4-2、4-2-3-1の左ウイングが適性で、マーカス・ラッシュフォードはアモリムHCが求めるインテンシティをまったく理解していない、理解しようともしない。
【冬の移籍市場で100億円あれば...】 夏の市場に2億1450万ポンド(約434億7000万円)を投じ、エリク・テンハフ前HCの解任とアモリム新HCの契約金に計3000万ポンド(約54億円)を使ったユナイテッドが、財務規定に抵触する恐れから、冬の市場で巨額を捻りだすのは難しい。 ただ、アモリムHCが要求する機動力、プレーの継続性に欠けるハリー・マグワイア、ヴィクトル・リンデレフ、クリスティアン・エリクセン、カゼミーロ、ラッシュフォードなどを放出すれば、100億円は創れるに違いない。 三笘には「ブライトンの王様」という選択肢もあるが、ユナイテッドが左ウイングバックを求めていることは確実だ。 プレミアリーグの移籍市場は、毎シーズンのようにドラマが始まる。三笘とユナイテッドが突如としてクランクインしたとしても、不思議ではない。
粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki