Amazon 、少量在庫への手数料は「切り捨て」か「支援」か? 出品者の怒りを買い再び実施延期へ
ブランドは値上げを余儀なくされる可能性も
Amazonは近年、マーチャント向けの手数料をしだいに増やしてきた。マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)によると、出品者手数料は販売ごとのコストの約半分を占めることがあり、マーチャントの利益を損なう。Amazonは今年の最初の3カ月で、出品者から徴収する手数料の収益だけで345憶ドル(約5兆3500億円)を生み出しており、これは前年同時期よりも16%増加した。Amazonが小規模業者から多くの手数料を取りすぎているという懸念の一部は、連邦取引委員会(Federal Trade Commission)による、Amazonが出品者から過剰な料金を徴収しているという裁判の申し立てに端を発している。 米モダンリテールが以前報じたように、マーチャントは新しい手数料の変更について、負担が大きすぎると非難している。その一部は、新しい手数料により、ブランドが利益率を守るために値上げを余儀なくされる可能性が高いとも述べている。 「業界全体で誰もが値上げを行っている」と、エルダー氏は述べる。
スピード配送も利益向上の重要要素に
Amazonの配達はこれまでになく迅速だ。全世界のプライム(Prime)メンバーに、20億を超えるアイテムが即日または翌日に届けられると、ワールドワイドアマゾンストア(Worldwide Amazon Stores)のCEOを務めるダグ・へリントン氏は4月29日に記した。この迅速なフルフィルメントはAmazonの純利益を押し上げるのにも一役買っており、今年の最初の3カ月で利益が3倍以上に増加して104億ドル(約1兆6100億円)になったと、Amazonは4月30日に明かした。また、商品を1時間以内に顧客へ届けるためドローンによる配達も拡大していくと述べている。 「ロジスティクスは商品自体と同じくらい重要な部分だ。そしてAmazonは、より多くのアイテムを迅速に配送することで、他社との差別化を進めている」と、マーケットプレイスパルスの創設者でCEOを務めるジョーザス・カジウケナス氏は記した。このまま行けば、Amazonは即日または翌日配達について昨年の70億件という記録を更新するだろうと同氏は付け加えた。 しかし、配達時間が短縮されても、出品者の暗雲は晴れない。 スマートフォンやカップに使用できる、セルフォンシート(Cell Phone Seat)というホルダー機器をAmazonで販売しているスコット・マッキントッシュ氏にとって、新しい手数料の最大の問題点は、自社の在庫水準を管理する能力がなく、Amazonからもどのように管理すればいいのかの指導がないことだ。 「多く販売しすぎると手数料を取られる、そして今度は十分に販売しないと手数料を取られるようになった。最適なスイートスポットを見つける必要があるが、どうすれば見つかるかも教えてもらえない」とマッキントッシュ氏は述べている。