57歳「キング・カズ」の情熱は衰え知らず 2季ぶり復帰の日本で追う終わりなき夢 鬼筆のスポ魂
始まりがあれば必ず終わりがある。人は生まれれば必ず死ぬ。そして、どんな人間でも年を取れば必ず老いていく。誰もが受けいれざるを得ない宿命にここまであらがえるのか…と驚くしかない。 サッカー元日本代表FW三浦知良(57)が、7月1日から日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿でプレーする。保有権を持つJ2横浜FCからの期限付き移籍。今年5月までの2季はポルトガル2部のオリベイレンセに在籍していた。鈴鹿には、旧体制のポイントゲッターズでプレーした2022年以来の復帰。日本への復帰もそれ以来となる。 ■現役へのこだわり 国立競技場で25日に行われた移籍会見。真新しいユニホームに袖を通したカズは「自分の情熱が衰えることはない。まだまだグラウンドで戦えるというモチベーションは常にあるので、やめるという選択肢はなかった」と話した。 移籍期間は来年1月末までだが、若い頃とほとんど変わらない体のフォルム、輝くような笑顔を見ると、3年後の27年2月26日に迎える還暦(60歳)の時もピッチに立っているのでは…とすら想像してしまう。 1993年のJリーグ発足時にヴェルディ川崎のFWとしてプレー。36試合に出場して20得点をマークした。それから31年。J1通算326試合に出場し、139得点、J2通算249試合出場で24得点、日本代表では89試合で55得点。数々の名シーンを演出した希代のストライカーは、これからも現役にこだわる。 「(JFLは最短で出場できる7月14日以降に)15試合あるので、1試合でも多く、1分でも多く出たい。ゴールを挙げることを目標にやっていきたい。ベテランらしくないプレーを見せたい」と意気込んだ。 ■日々の積み重ね おなか周りがせせり出て太ももは痩せてしまい、健康診断では生活習慣病に該当する数々の疾患を指摘される。立ち上がるときは必ず「どっこいしょ」と声が出てしまい、体が硬くて足の爪を切るのにもひと苦労…。これが普通の60歳手前のオッサンだ。ところが、カズはまるで違う。どうしてこんな姿を保つことができるのか。 そこには当然ながら日々の努力の積み重ねがある。若い頃から練習には誰よりも早く出てきて、最後の最後までグラウンドに残っている。練習はウソをつかない、というが、カズの濃密な練習メニューは在籍したどこのクラブでも有名。体のケアもきめ細かい。入念な手入れを欠かさず、温冷浴も取り入れている。真剣にサッカーと向き合った一日一日の積み重ねが、今のカズを作り出したのだ。