ド派手な飾りも箱絵もないけど「デコトラ」! 令和のトラック野郎たちは「造りボディ」で楽しんでいた!!
造りボディは次のトラックに受け継ぐことができる
車体に数多くの飾りや電飾を取り付け、絵を描いてデコレーションされたトラック。昭和の時代にブームとなったデコトラを連想したとき、このようなイメージを抱く人は多いだろう。デコトラに特別な関心を示していない人たちであれば、映画『トラック野郎』の一番星号を思い浮かべるに違いない。確かに、昭和の時代のデコトラはそのようなスタイルであった。 【画像】プライベートで楽しむようになった派手なデコトラたちの画像を見る しかし、年々規制が強化されてゆき、派手なトラックでは仕事がしにくくなってきたことに対応すべく、現代のデコトラ界ではシンプルイズベストな飾り付けが好まれている。このような飾り方はデコトラファンにしか凄さが伝わりにくいため、荷主や顧客、そしてエンドユーザーをイタズラに刺激しないで済むのだ。 その際たる手法が、「造りボディ」と呼ばれるもの。トラックはエンジンやミッション、タイヤなどの動力部分をフレームに設置したシャシーに、運転席を含めたキャビンと荷物を積むための荷台を載せている。その荷台のことをボディと呼ぶのだが、そんなボディをイチからオーダーメイドで製作したものを造りボディと呼ぶのである。 では、なぜボディをオーダーメイドで製作する必要性があるのか。所詮は荷物を積むだけのスペースなのだから、わざわざ費用や手間をかけなくても……。そう考えるのが普通だろう。 しかし、頑丈なボディを製作することで、次のトラックにもそのボディを受け継ぐことができるようになる。トラックにおいてボディはとにかく重要で高価なアイテムであるだけに、先にお金をかけてしまえ! と考える人が多いのだ。しかもデコトラ愛好家であれば、ボディに文字や絵を描くという手法が人気である。そんな絵も次のトラックに受け継ぐことができるため、長い目で見れば得なのだ。
造りボディの「なんちゃって仕様」も登場
そして、先述したように造りボディが放つ効果は実用面だけではない。見た目を大きく変える効果もあるために、デコトラ愛好家たちに好まれる。もちろんデコトラファンであれば、そんな造りボディを載せただけのトラックであっても食いついてくる。 しかし、デコトラに興味がない人からすれば、これのどこがデコトラなの? となるわけだ。結果として自身のデコトラ熱を注ぐことができ、ファンに評価されることもできる。しかも、荷主や顧客を刺激しないで済む。造りボディとは、そんな優れものの存在なのだ。 しかし、イチからオーダーメイドでボディを製作するとなると、当然のごとく知識や費用、日数が必要となる。そのため、近年では床などの土台はノーマルのものを使用し、側(ガワ)だけを手がける車両も多い。要するに、見た目だけのボディである。そのような「なんちゃって仕様」もいまのデコトラ界では造りボディとして扱われる傾向になっているため、造りボディの比率はとても高くなっているのだ。 時代は移り変わる。デコトラの世界も同様に、働くトラックたちは派手さから美しさを求めるなど、方向性が変わってきた。そして、派手なデコトラは仕事で使うのではなく、プライベートで楽しむようになっている。そのように逞しく生き続けているデコトラ愛好家たちの姿を見ていると、日本独自の文化であるデコトラは、これからも末長く存在し続けてくれることだろう。
トラック魂編集部