【エリザベス女王杯】カギはレベル高い府中牝馬S組の取捨 条件好転のライラック、ハーパーにチャンスあり
ハイレベルだった府中牝馬S
今年、主軸を形成するのは府中牝馬S組。2着シンティレーション以下7頭が登録した。牡馬を向こうにまわし、新潟記念を制したシンリョクカ、GⅠ馬スタニングローズなど、古馬勢にも脈ありの馬は多い。 前走クラス別成績は極端で、GⅠ【1-3-5-24】勝率3.0%、複勝率27.3%、GⅡ【9-8-3-64】勝率10.7%、複勝率23.8%に対し、それ以外は【0-0-1-53】。さすがにGⅠレースとしての格を感じる結果だ。 前走レース別では府中牝馬Sが【4-6-2-38】勝率8.0%、複勝率24.0%と頭数も多く、さすがに前哨戦といった感じだ。凡走も多く、絞りにくいが、3着以内は【3-3-1-14】。ただ、5着【0-2-1-3】など負けた組から巻き返す馬もいて、ややこしい。 また、府中牝馬Sが休み明け初戦だった馬は【4-2-2-31】勝率10.3%、複勝率20.5%。このうち3着以内は【3-1-1-11】、5~9着は【1-1-1-8】。始動戦と割り切っていた馬も怖い。休み明けで府中牝馬Sに出走し、9着以内となると、5着ルージュリナージュが該当する。春のヴィクトリアマイルでも5着。東京専用なので、京都に替わって着順をあげるイメージが湧かなく、なんともいえないが、データ合致はこの馬だけ。二桁着順だったライラックやハーパーまで頭に入れないといけないだろうか。 今年の府中牝馬Sは前半1000m通過58.7。12.7-10.9-11.5-11.8-11.8と進み、後半も11.9-11.7-11.4-11.0と毎日王冠を凌駕するハイレベルなラップ構成だった。後方から追い込んだルージュリナージュも混戦向きの末脚に魅力を感じるものの、前で流れに乗って大敗したハーパー、ライラックは流れが向かなかった。ハーパーは昨年3着、ライラックは阪神だった2年前2着、昨年4着。どちらも2200m替わりでパフォーマンスをあげてくる。 他路線では、前走が牡馬相手の重賞だった場合【4-2-3-35】勝率9.1%、複勝率20.5%。GⅢに限ると【0-0-1-7】と厳しい成績であり、新潟記念を勝ったシンリョクカに飛びついていいか迷うが、牡馬相手の重賞で3着以内なら【3-2-3-10】勝率16.7%、複勝率44.4%、GⅢでも【0-0-1-0】。メンバーレベルを考えると、シンリョクカも評価しないといけないのではないか。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳