発達障害を公表したら“職場いじめ”の対象に…県庁勤務の男性(45歳)が激白「あなたが悪いと一蹴され」
上司、産業医に相談しても解決にならず
職場には相談窓口があり、そこにも相談したり、上司にも相談したりしたが「あなたが悪い」の一言で一蹴されてしまった。産業医にも相談したが、内科が専門の医師だったため、解決に繋がるようなアドバイスはもらえなかった。 また、公務員が差別をした場合、加害者に懲戒処分がくだされたり、刑事責任が負わされることもある。だからこそ、それが発覚した場合、職員の大量処分(不祥事)に繋がることから上の人たちがもみ消していると山本さんは語る。ASDの特性をもつ人の中には、気になったことがあると徹底的に調べ上げる人がいる。山本さんもそのような特性を持っており、職場の不祥事について調べたという。 「パワハラの他にもセクハラ、マタハラ、介護ハラ、カスハラももみ消され体制になっていることがわかりました。なんせ、カラスは白だと言われたらみんな白だと言わないといけないような職場だったので、どうにもこうにもいかなくなってしまいました。不祥事があったとしても基本、黙認なんです」
県庁でパワハラが起こることへの憤り
現在、山本さんは休職して1年が経とうとしている。復職をしたい気持ちが強いが、二次障害の適応障害がまだ寛解していない。山本さんは訴訟も考えているが行政訴訟で勝つのは難しいと弁護士に説明された。一説によれば勝率は10%程度とのことだ。 「訴訟を起こしてお金をもらいたいわけではないんです。ただ、パワハラがあってはいけない県庁という場所でパワハラが起こっているという事実を問題提起したいんです。障害者差別をやめてほしいんです」 2021年にはセールスフォース社に勤務していた発達障害の女性が不当な雇止めにあったとして訴訟を起こし、2023年に和解をしている。発達障害の認知度が上がったとは言え、職場ではパワハラや雇止めといった問題が起こっている現状がある。企業側や公務員はもちろん、もっと発達障害者の働きやすさを考えていく必要があるのだ。 <取材・文/姫野桂> 【姫野桂】 フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ、。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)、『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)
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