熟年離婚を防ぐには「妻の隠れた本音を読め」“妻ことば”翻訳実例を夫婦カウンセラーが徹底解説
夫婦生活の終焉を意味する離婚。性格の不一致やパートナーの不貞などさまざまな要因があるが、近年、長年連れ添った熟年夫婦の離婚が急増しているという。 ■【一覧表】『熟年離婚されないための“妻ことば”翻訳実例』「最近、なんかウキウキしているね」が意味することは… 「1995年の50歳以上の離婚件数は年間に約4万5000件でしたが、2000年には9万4753件と倍増。また、22年には日本の年間離婚件数のうち、約24%が20年以上連れ添った夫婦による、いわゆる“熟年離婚”となり、過去最高になりました」(全国紙社会部記者) 熟年離婚が増える背景について、約1万人のカウンセリングをしてきた夫婦問題カウンセラーの高草木陽光氏が、こう解説する。 「熟年離婚は、妻が切り出すケースが非常に多く、長年の不満が積もった結果と言えます。しかし、“思いもしなかった”という男性が結構多いんですよ」 離婚後、長年の抑圧から解放され生き生きと暮らす女性は多いが、それまで食事などの生活全般を妻任せにしてきた男性のダメージは計り知れない。 「熟年離婚した男性は、健康状態も悪くなり、服装に気を遣わなくなるので、体の内も外もヨレヨレになります。熟年離婚をすると、妻の寿命は5歳伸び、夫は5歳短くなるといわれています」(ライフ誌ライター) それにしても、離婚した熟年妻たちは、どんな不満を抱えていたのか。前出の高草木氏が解説する。 「実は、夫は妻が話す言外の意図を読もうとしない、あるいは読めないんですね。なぜ読めないかというと、夫が気持ちのどこかに“妻が家事や夫の世話をするのは当たり前”と思っているからです」 身に覚えのある方も多いのではないだろうか。 「今は、そんな時代じゃないんですね。働く女性が多くなり、男性は定年間際になると収入も減ります。そんなときでも、夫は妻が家事をやるのは当たり前と思っている。だから、妻の言葉が読めないんでしょう」(以下、すべて高草木氏)
■妻ことばが分からず熟年離婚
そんな高齢男性のために高草木氏が執筆した『ホンネがわかる妻ことば超訳辞典』(青春出版社)。同書で紹介されている“妻ことば”から離婚されないための翻訳術と対応術を紹介したい。 仕事やパートから帰った妻が台所の椅子にぐったりと座り、夫を見ながら「今日は仕事が大変で疲れちゃった」と言った。 「こんなとき、奥さんは夫に“疲れたから食事作りやお風呂掃除など、代わりにやってくれない?”と言外に言ってるんですね。ところが夫のほうは、自分がやるなんて考えもしないから、“オレ、腹減ったよ。早くメシにしてくれよ”なんて返事しちゃう。で、奥さんは“あ~あ、この男、何にも分かってくれない”となり、不満がたまる。これが、熟年離婚の火種になるんです」 妻を思いやれない言葉は食事中も出る。妻が手の込んだ夕食を作った。「どう、今日は、このスパイスを使ってみたの」と聞くが、夫は「いつもと、そんなに変わらないけど」などと返答する。 「せっかく作ったんだから、奥さんはとにかくおいしいと褒めてもらいたいんです。でも、夫はこれに気づかない。こんな“すれ違い”に妻はガッカリしてしまうんですね」 家事についても同様。最近の妻は「家事は基本的に夫婦平等」と考えている。 妻が夫に「レンジや台所って汚れがこびりついて掃除が大変」と言った場合。 「これは“力仕事はアナタにやってほしい”と言っているんですが、夫は“大変だね”とひと言ですませてしまいがち。女性同士の会話では、言葉の裏を斟酌してくれるんですが、夫はこれをやってくれないから、妻のイライラや不満が募っていくんです」 妻が「トイレが汚いときがあるんだけど」という場合も同じだ。 「奥さんの本音は、“トイレが汚い。アナタが汚したんだから、掃除して”なんですが、夫は“へー”だけで何もしない。また、奥さんの仕事が増えてストレスがたまります」 会社のゴルフコンペで家を出ようとすると、妻から「いいわねえ、休みの日はいつもゴルフで」と言われたことがないだろうか。 「奥さんの本音は、“私はいつも家事ばかり”という不満です。これに気が付かず、“半分は仕事なんだからしかたないだろう”などと言い返してしまうのは悪手。“お詫びに今度の日曜日、友達とゆっくり遊んできなよ。家事はオレがやっておくから”と応えるのが正解です」 年を取ると、身だしなみを整えたり、風呂に入るのが億劫になる。すると妻が「ヒゲが伸びているわね」とか「もう3日もお風呂に入ってないんじゃない?」と注意するが、これは、けっして夫のために言っているわけでもない。 「アナタが汚い格好をしてると、私が恥ずかしいでしょ。もっと清潔にしてよ」ということ。 「オレの姿格好なんて構わないでくれ」なんて言うのではなく、「加齢臭とかする?ゴメン。今晩、入る」が模範回答になる。