「1ドル=170円か180円で会社は破綻」…急激な為替変動が国民をパニックに陥れる「未曽有の事態」
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第14回 『むしろ「円安は大チャンス!?」…国力低下とメディアが大騒ぎしているウラで、いま仕込んでおくべき「株価急上昇」が見込める業種はこれだ!』より続く
円安は「国民の購買力」を痛めつける
エミン:エミン・ユルマズ。トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。 エミン:私も円安そのものが問題とは思っていません。ただ、短期間のうちに急激に円安が進むのは問題だと思います。 1ドル=100円だろうが、150円だろうが、円安なら円安で、どこかの水準で止まってくれるなら、家計や企業にとって大きな問題にはならないのですが、どんどん円安が進めば、国民生活は苦しくなります。 私はトルコ出身ですが、トルコ経済は75パーセントものハイパーインフレに見舞われています。インフレが進んでいるにもかかわらず、エルドアン大統領が金融緩和を続け、トルコリラが暴落したからです。 ここまで激しいインフレは日本では起きないにしても、今回の円安によって、メディアも国民も若干パニックモードになりました。1ドル=150円くらいで止まると思っていたのに、下手をすると200円までいくかもしれない、という雰囲気になったのです。 私の父親はトルコで輸入業をやっていたのですが、貿易の仕事では、為替相場が安定していることが最も重要なのです。1ドル=140円の時に輸入した商品は、1ドル=160円まで円安になって、同じ価格で売れるかというと、普通は無理です。円安になれば、同じ商品をより高い値段で購入しないといけなくなるので、円安前に輸入した商品でも値上げしないと次の仕入れができなくなります。 このように、為替相場の不安定は、その国のビジネスを痛めつけるのです。 しかも日本企業はなかなか値上げしないことで有名です。急激な円安で生じたコスト高を価格転嫁できなければ、企業が負担することになります。
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