有村架純×坂口健太郎 Netflixシリーズ『さよならのつづき』インタビュー
――脚本について、岡田さんとは何かやりとりをしましたか? 有村:直接ではないんですけど、脚本をいただいてから、プロデューサーさんとお話しする機会が何度かあって。感想に加え、「こういう心情になれるような部分がもう少しあるといいと思います」とか、自分なりに意見をお伝えして、それを一度持ち帰っていただいて。そんなブラッシュアップの期間があり、ある意味、一緒に脚本を作らせていただけたともいえるかも。 さえ子には大切な人が亡くなるという枷があるから、暗い作品にしようと思えばいくらでもできます。でもそうではなくて、シリーズとしての観やすさも大事にしたかったし、あとさえ子ってみんなから慕われていて明るいんです。脚本上の印象もそうで、そのキャラクター像をより説得力のあるものにするにはどうしたらいいか話した記憶があります。 実際に演じる上では、さえ子のさっぱりしていて、時には勢いで進んでしまうようなエネルギッシュさを体現するために、自分が今まで挑戦したことのない方法に少しばかりトライできたらいいなと思って。日本的じゃない感情表現というか、海外生活が長い人のようなイメージで、身ぶり手ぶりを交えて喜怒哀楽を伝える意識をしていました。 坂口:僕がプロデューサーさんに意見させていただいたのは、おもに成瀬の家庭について。まだ台本として固まる全然前の段階ですけど、もし成瀬と妻ミキ(中村ゆり子)の間に子どもがいたらどうかとか、そもそもまだ結婚していなかったらどうかとか。それをふまえ、さえ子と成瀬の関係性をどこまで密接にできるかのラインを、もうちょっと明確にした方がいいと提案しました。「ここから先には進まないほうがいいよね」とか、「結婚しているからこその哀しみもあるよね」とか話して。あとは、ほぼほぼ台本ができつつあった頃にひとつだけ、物語の最後にさえ子とミキがふたりでいる姿を見たいと伝えた記憶があります。 ――衣裳を手掛けたのは、『カルテット』や『エルピス―希望、あるいは災い―』など話題のドラマに参加してきた、スタイリストの杉本学子さんです。それぞれのキャラクター像が巧みに反映されたスタイリングでした。 有村:今回着たものの中で、私のお気に入りは、〈メゾン マルジェラ〉のシャツワンピース。襟や袖が水色のストライプ生地で、白いタビブーツを合わせているんですけど、さらっとしているのにおしゃれでかわいかった。さえ子の衣裳はハイブランドを織り混ぜてコーディネートしてくださって、普段あんまりそういったお洋服を着ることがないぶん、気持ちも上がりましたし、“今日はどんな服かな?”と毎日楽しみでした。ハイブランドの服は、さえ子にとって仕事を頑張ったご褒美。自分で自分をプロデュースしていくようなパワフルな女性なので、人物像に合ったものを杉本さんに組んでいただきました。