熊の出没に備え訓練 長野県東筑摩郡山形村と朝日村が対応確認
市街地や里地へのツキノワグマ出没増加に備える訓練(環境省、長野県主催)が5日、長野県東筑摩郡朝日村ゲートボールセンター周辺で開かれた。環境省のモデル事業で、人と熊のすみ分け徹底のためのゾーニング(地域区分)管理の導入を進める朝日村と山形村を対象に行い、両村と関係機関の約40人が緊急時の連絡体制や役割分担を確認した。 机上と実地の訓練を行い、平日午前8時、車で通勤途中に路上で熊を見かけた村民から村に通報が入ったと想定。「(センター近くの)縄文むら公園方面に熊が走っていった」との通報を元に、村職員、警察官が現場に駆け付け、周辺道路の立ち入り規制、住民への注意喚起、熊の監視、対処法(おりによる捕獲、麻酔銃または麻酔吹き矢による捕獲、追い払いなど)の話し合いを連携して行った。現場対応が続く中、熊は近くの倉庫に立てこもったため、麻酔吹き矢により捕獲した。 麻酔銃は屋内で使えない、麻酔銃と麻酔吹き矢の許可申請先が異なる―など状況ごとに求められる対応が変わり、朝日村産業振興課の山口純平・商工観光林務係長は「連絡体制や指揮系統がクリアにできた。一方で事例ごと違う対応の難しさも感じた」と振り返った。山形村の中川俊彦・産業振興課長は「安全第一に危機管理という意識を忘れてはいけない」と気を緩めず対応に当たる大切さを話した。 ゾーニング導入の効果として、人家が多い「排除地域」内で熊が出没した場合、市町村長権限で捕獲が許可でき迅速な対応が可能になる。山形村は5月に導入し、朝日村は年度内にも導入を目指す。
市民タイムス