米中古住宅販売成約、20年夏以来の大幅上昇-金利低下など奏功
(ブルームバーグ): 9月の米中古住宅販売成約指数は前月比で約4年ぶりの大幅な上昇となった。夏の終わりごろに借り入れコストが低下したほか、売りに出された物件が増えたことが寄与した。
成約件数は増加したものの、住宅ローン金利の低下を待ち望む購入希望者が多いため、過去20年余りのデータで見ると指数はなお低水準にとどまっている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「夏の終わりに住宅ローン金利が低下し、住宅在庫が増えたため、成約件数は全地域で増加した」と発表文で指摘。「引き続き雇用が増え、在庫水準が上昇し、住宅ローン金利が安定すれば、さらなる増加が見込まれる」と続けた。
住宅価格と融資コストの高騰により、住宅市場の値頃感は過去最低レベルにまで落ちこみ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に過熱した中古住宅市場は凍結された格好になっている。中古住宅の販売件数は9月、ほぼ14年ぶりの低水準に落ち込んだ。
購入可能な住宅が不足していることは大きな問題となっており、住宅所有者が現在の低い住宅ローン金利を失うのを嫌って売却を渋る、いわゆるロックイン効果によって悪化している。しかし、ここ数カ月の在庫は増加傾向にあり、9月は4年ぶりの高水準に達した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を0.5ポイント引き下げた後、9月の住宅ローン金利は2年ぶりの低水準となる6.13%まで低下した。ユン氏によれば、これを受けて市場に戻る買い手が増えた。しかしその後、雇用とインフレの底堅さが指標で示されたことから、FOMCは今後数カ月、小幅な利下げにとどめるとの見方が強まり、ローン金利は6.73%まで上昇した。
販売成約指数は全地域で増加。西部は9.8%増、中西部で7.1%増、南部で6.7%増、北東部では6.5%増となった。ユン氏は住宅価格の上昇率が鈍化しているため、今後数年は販売が伸びると予想した。