伝統の背番号5を託されたディフェンスリーダー。市立船橋高校・岡部タリクカナイ颯斗が秘めている底知れないポテンシャル 【NEXT TEENS FILE.】
90+2分。右サイドから左近作怜が上げたクロスに、リーグ戦では無得点だった悩めるエース・久保原心優が必死に頭で合わせたボールは、ゴールネットへ吸い込まれる。劇的な勝ち越しゴールは、そのままこの試合の決勝点に。「負けたらメチャメチャキツい状況になっていたと思うので、嬉しさ半分、ホッとした気持ち半分、という感じでした」(岡部)。まさに“市船魂”を感じさせるような勝利。選手たちは歓喜の歌をアウェイのスタジアムに轟かせた。
この1勝をきっかけに、市立船橋は覚醒する。後半戦はここまで5勝2分け1敗。第17節からは昌平高校、流通経済大柏、尚志高校を相次いでなぎ倒し、圧巻の3連勝を達成。9位のFC東京U-18、10位の尚志と勝点で並ぶところまで驚異的な浮上を果たし、プレミア残留への光は間違いなく差し込んできている。
岡部もリーグ戦での好パフォーマンスを評価され、10月にはU-18日本代表に初招集。スペイン遠征に参加し、同世代の実力者たちから小さくない刺激を受けるなど、着実にセンターバックとしても進化を続けてきた。
高校サッカーと向き合う時間も、長くてあと2か月あまり。大宮U18戦の試合後、岡部が熱っぽく語っていた言葉を思い出す。「僕たちのシーズンを通しての目標に、『見ている人たちを感動させる』というのがあるんですけど、その中で『応援される選手、愛されるチームにならないといけない』と、『正々堂々やることとか、泥臭く一生懸命やることが人を感動させる』という話をずっとされているので、Jユースと比べたら綺麗に繋いで崩す感じのスタイルではないですけど、『走って、戦って』ということはもっと意識して続けていくべきかなと思います」
2024年を戦う市立船橋のキャプテンマークと背番号5を託されたセンターバック。底知れないポテンシャルを秘めた岡部タリクカナイ颯斗がさらなる成長を止めない限り、上昇気流をはっきりと掴んだチームも前へと突き進んでいくことに、疑いを挟み込む余地はない。
土屋 雅史
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