自民党総裁選前半終えて……その本質は?
「働き方改革」が道半ばの中、企業が政府の都合よく動くとは考えにくい状況です。再就職支援と言っても企業は派遣会社を紹介する程度でしょう。そうした中で、政府が企業に圧力をかけたり、過大な期待を寄せたりすることを疑問視する人も少なくないと思います。立憲民主党の代表選に出馬している野田佳彦元首相は「落選しない地盤もらって、自分がピンチになることのない連中が、人の人生不安にすることを言うな」と厳しく批判しました。 前半を終えて、9人という候補者の多さも一長一短というのが正直な感想です。多様な意見が交わされるのはいいことですし、「多士済々」「個性豊か」とも言えますが、議論がふわふわして、地に足が着いていないという印象も持ちました。候補者は自身にとって有利な主張はするものの、党員らが本当に知りたいことを説明できているのか……後半に議論が収斂されていくかが注目されるところです。また、9人いると候補者や議員も集中力が切れてくるようで、12日の所見発表演説会では、会場を上から見ていると、出席議員の席からちらほらと液晶画面の光が……スマホをいじる姿が見られました。 さて、勝敗の行方です。メディアの情勢調査では石破氏、小泉氏、高市氏が先行(順位はメディアによって違う)という報道が目立ちますが、決定的と言えるような差はついていないもようです。何よりも9人の候補者乱立で、議員票の「勝敗ライン」が下がり、混とんとしています。 今回の構図は重層的です。若手・中堅のフレッシュさか、ベテランの経験か、女性候補はどこまで健闘するか、ほとんどが解消されたとはいえ派閥の影響は残るのか…そして、注目されるのは麻生太郎氏、菅義偉氏、岸田文雄氏の総理経験者の動向です。“キングメーカー”と称される人物がどのような動きを見せるかもポイントになるでしょう。 ただ、キングメーカーの動きは目立てば目立つほど、院政や傀儡政権というイメージは免れず、選挙戦が白けたものになりかねません。それを配慮してか、表立った動きはあまりみられません。例えば、小泉進次郎氏の支持を明言した菅元首相も、横浜で行われた街頭演説ではスピーチ時間はわずか1分でした。