「パワハラ、おねだりは捏造」説が後押しする斎藤元彦前知事の復活劇
11月1日夕刻。雨が降る中だというのに、JR姫路駅前のアーケードには数百人の人垣ができていた。その中心にいるのは、マイクを握って笑う斎藤元彦前兵庫県知事(46)。 【写真をみる】“お土産”を「俺がもらっていく」と堂々お持ち帰り 高級ガニを手に満面の笑みを見せる斎藤前知事
「旧態依然の県政に戻すわけにはいかないんです」 「僕の写真を撮ってSNSでみんなに伝えて下さい」 斎藤氏の訴えに聴衆はやじを飛ばすでもなく、静かに聞き入り、求めに応じてスマホを掲げている。
疑惑に対する“疑惑”
しかし、斎藤氏といえば、パワハラ、おねだり疑惑で世間から集中砲火を浴び、県議会の全会一致で不信任決議案が可決されて、9月30日、失職した身である。仮に再出馬しても、味方する者などいないだろう、とみられていた。 それが、10月31日に知事選が告示されると、現実は違ったのだ。ある中年女性は演説を聞きながら、こんなことを言っていた。 「斎藤さんはええなぁ~」。 いったいこの1カ月の間に何があったというのか。在阪記者が解説する。 「斎藤氏の復活にはいくつもの理由が挙げられますが、いちばんは疑惑に対する“疑惑”です。斎藤氏のパワハラ、おねだりが実は捏造だったのではないかという話を、県内の市会議員あたりが流しているようで、それが出所不明のままSNS上で広まっているんです。斎藤氏の改革路線をつぶすための守旧派の策略だったのではないか、と」
斎藤氏“復活”の可能性は
昨今の選挙におけるネットの影響力は計り知れず、さらにややこしいことに今回の選挙にはNHK党の立花孝志氏(57)も出馬したうえで、こうした言説の拡散に貢献している。 こうなると斎藤氏の復権が起こり得るのか? 「現状、前尼崎市長の稲村和美氏(52)のリードは変わらないと思う。自民も立憲民主も彼女の支援に回っている。ただ、自由投票ゆえに水面下で斎藤支援に回る地方議員も出始めているようで、予断を許さない」(前出の記者) アメリカ大統領選において、多くのメディアが「大接戦」を予想して、大きく外したのは記憶に新しいところ。選挙で番狂わせは珍しくない。斎藤氏は、11月17日の投開票日に、果たしてどのような顔を見せるのだろうか。 いわゆる「疑惑」の他に、問題視された斎藤知事の不思議な秘密主義については、【関連記事】(斎藤知事の退職金は「1500万円以上」 運転手にも「自宅を教えない」特異な性格で「災害対策本部名簿も空白に」)に詳しい。
撮影・吉川 譲 「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載
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