トヨタが「自動車産業大変革期」を勝ち残るのに必要なこと――テスラとの再提携“西側最強タッグ”結成のインパクト
トヨタがテスラから学ぶこととは?
私は生産分野の専門家ではないが、トヨタが導入する「ギガキャスト」はテスラの「ギガプレス」と同様の方式であり、テスラのパーツを自社工場で生産できればコストも下がる。 ちなみにトヨタが2019年に発売したスポーツカー(スープラ)はBMWとの協業で生まれたが、プラットフォームはBMWの「Z4」と共用している。ガソリン車と較べるとEVはこのようなことがより容易にできるはずだし、走行性能などの差別化も車載OSで行うことができる。 前回の提携ではテスラがトヨタのフリーモント工場を購入したことで多くのことを学んだが、今後はトヨタがテスラから学ぶこともある。自動運転技術やOTAなどでも協業関係ができれば今後のトヨタ車の開発にも大いに参考になるだろう。そしてテスラにとってもトヨタの販売網を活用できるメリットは極めて大きいはずだ。 トヨタとテスラが再度提携するインパクトは世界の自動車業界に大きな衝撃を与えるだろう。中国メーカーが国家の戦略と一体になってますます勢いを増す中で、トヨタとテスラがタッグを組むことは最強の対抗手段になるのではないだろうか。 私はトヨタでマーケティングの仕事をしてきたが、もし私がまだトヨタにいれば、「両社協業の新しいブランド」を立ち上げてみたいと思うだろう。 文/髙田敦史
---------- 髙田敦史(たかだあつし) 1961 年生。奈良県出身。一橋大学卒業。中央大学大学院経営戦略研究科修了。 1985 年にトヨタ自動車株式会社入社後、宣伝部、商品企画部、海外駐在(タイ、シンガポール)、トヨタマーケティングジャパンMarketing Director を経て、2012 年からレクサスブランドマネジメント部長としてレクサスのグローバルブランディングを担当。2016 年にトヨタ自動車を退社、A.T. Marketing Solution を設立。コンサルティング業務、講演活動等を行う。経済産業省「産地ブランディング活動」プロデューサー、東京理科大学非常勤講師、広島修道大学非常勤講師、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会アドバイザー等も務める。 ----------
髙田敦史