名古屋市長選に見る「組織票の終焉」…敗北の大塚耕平氏は愛知&埼玉両県知事の応援がアダに?
24日投開票された名古屋市長選は、元副市長の広沢一郎氏(60)が当選した。 河村たかし前市長が後継指名し、自民・立憲民主・国民民主・公明から支援を受けた前参院議員の大塚耕平氏(65)ら6人を破った。次点の大塚氏とは約13万票差を付けた圧勝だったが、今回の選挙は日本保守党や地域政党「減税日本」などが推薦した広沢氏(市民)vs 既存政党が支援する大塚氏の構図が語られ、17日に投開票された兵庫県知事選の斉藤元彦知事(県民)vs 元尼崎市長の稲村和美氏(自民・公明・立憲・国民)と似ている。 【写真】斎藤元彦知事に公選法違反「買収」疑惑急浮上しSNS大炎上!選挙広報のコンサル会社に「報酬」か 「名古屋市長選挙も『SNS戦略』が功を奏したといわれますが、Xのフォロワーも広沢氏は約4万5000人、河村氏でも約18万人。YouTubeによる2人の配信でも視聴回数が数千から数万程度です。こちらも、兵庫県知事選と同様で勝手連の働きが大きいでしょう。減税を主張する広沢さんと、推薦を受けすぎたことによって政策が最後まで曖昧になった印象を抱かれた大塚さんがネットでも分かりやすい比較になっていました」(地元政治部記者) 大塚氏は敗戦の弁で、《(SNS上での)デマ、誹謗中傷、レッテル貼りの影響というのも一定程度あった》と総括している。だがSNSでは最後まで2候補で決めかねている声や大塚氏の人柄を否定する声は少なかった。 「減税については『効果を検証し判断』という煮え切らない姿勢だった点と、そもそものデマの背景には応援代議士らの存在が大きい。国民民主党を支援政党とする市民からも《大村知事が支援するなら広沢さんにする》という声は少なくなかった。大村秀章愛知県知事と河村前市長は『あいちトリエンナーレ2019』騒動で対立。市民は河村派ですからね。また組織票に頼ることは関係する政党の政治家などが応援に入りますが、その人物に好感度があれば別ですが、ネットで批判の多いキャラクターなら応援がアダになる。兵庫県知事選の22市長が出席した“机叩き”会見と同様です」(前出の地元政治部記者) 大塚氏は「移民推進派」や「増税派」などとネット上で出回り、本人が否定していた。だが、拡散にとどめを刺したのは、埼玉県知事の大野もとひろ氏が応援に入った後だ。埼玉は川口市のクルド人と地域住民との軋轢が問題になっており、ネットでは大野知事の対応に疑問を抱く層も少なくない。さらに20日には立憲民主党の有田芳生衆議院議員が自身のⅩで、《名古屋市長に政策通の大塚耕平さんが当選しなければ、「トリックスター政治」が一時ではあっても、形を残してしまいます。それは歴史の停滞です。大塚さん、頑張ってください》と投稿し、河村市政を批判。SNS上では有田氏の投稿が大量に切り取られ、広沢派の応援の糧にされていた。 もっとも、支持政党別の投票先で国民民主支持者の半数以上が広沢氏に投票している。 東京都知事選では組織票の強さを見せたが、SNS戦略が注目される現在、都市部選挙では応援に駆け付ける代議士がリスクになる可能性がある。組織の応援もありがた迷惑? ◇ ◇ ◇ “勝手連”の支援はどれほど強いのか?●関連記事【もっと読む】『斎藤元彦氏“勝手連的”支援が「再選」の原動力に…田中康夫元長野県知事の出直し選でも同現象が…』で詳報している。