大学院で蓄電池を研究し、日産でエコカー開発へ 「理工系学部なら変化に対応できる」
仕事にコミットした20代後半
加藤さんが日産自動車で担当しているバッテリーシステム設計は、電気自動車につながる業務です。走行距離やスピードに応じたバッテリーの性能や、衝突時にも安全性が保たれるかなどバッテリーシステムの技術課題を研究し、性能とコストを両立できるバッテリーの設計に携わっています。 「現在の部署に異動して1年になりますが、リチウム電池の性能にかかわる今の仕事にはとてもやりがいを感じています。より効率よく、快適な走行を実現するだけでなく、これがひいては環境問題など現在の社会課題の解決の一端を担っているかと思うと、何とかしてもっといいものを作りたいと日々考えています」 加藤さんは、同社が世界戦略車として展開している「アリア」の開発にも携わりました。アリアは「クロスオーバーEV」という概念で開発され、オフロードなどの使用を目的としたSUV車と、街乗りなどの使用を目的とした乗用車の両方の要素を併せ持った車です。そこに電気自動車ならではの走り心地や燃費性能のよさが加わり、環境への負担も少ないことが特徴です。家庭の普通充電器で充電できるのも長所の一つです。 「街中でアリアを見かけると、誇らしいような、うれしい気持ちになります。電気自動車は今や群雄割拠の時代。入社後、車が大好きになったこともあり、街中で見かける競合他社の車がどういう構造なのか分析し、トレンドを把握するベンチマーク活動もよくやっています。全米のバッテリー式EV登録台数の約4割を占めるカリフォルニア州を旅行したときは、当たり前のように走るテスラを見てかっこいいなと思いました。バッテリーシステム設計に携わる者として、世界の電気自動車市場でトップシェアのテスラはやはり憧れますね」 日産自動車の正社員のうち女性は約2割ですが、加藤さんがいるチームは10人のうち4人が女性です。 「マネージャーの女性は共感力が高く、コミュニケーションが円滑で、周囲の違う部署もうまく巻き込んでプロジェクトを進めていて、とても参考になります。上司のそういう姿を見ていると、女性の特性を生かせる職場だなと感じます。入社当時も女性が活躍できる環境は整っていましたが、機械工学専攻の男性が多いというのもあって、今よりはバリバリ頑張って気合入れてやらなければという空気があったかもしれません。入社して8年目の今は、当時よりフレキシブルにワーク・ライフ・バランスを大事にしている人が増えた印象です。理系の学生は大学院に進むことが多く、私も入社時は25歳でした。20代後半は、仕事にコミットしたいという気持ちが強かったように思います。身近な上司は子どもが2人いて、在宅勤務を活用しながら家庭も仕事も充実している感じです。そういう姿を見ると、いつかは私も同じように子どもを持ち、長く勤められたらいいなと思います」