人生100年時代を楽しむために不可欠な「意外な資産」とは?
「変身資産」に着目する2つの背景
これまで、様々な場面で議論されてきた「生産性資産」「活力資産」に加えて、『LIFE SHIFT』が新しく提示した3つ目の"無形資産"が「変身資産」です。 「変身資産」という言葉は耳慣れない言葉だと思いますが、長い人生において経験することになる変化や変身のために必要な資産です。 『LIFE SHIFT』の中では、「自分についてよく知っていること」「多様性に富んだ人的ネットワーク」「新しい経験に対する開かれた姿勢」といったポイントが指摘されていますが、その内容はやや抽象度の高いものだと感じます。 「変身資産」は、わかりやすく言えば「変わるチカラ」です。私たちが「変身資産=変わるチカラ」に着目する理由には、大きく2つの背景があります。 1つ目は、超長寿社会の到来です。 これからの長寿社会においては、これまで一般的だった「学習→仕事→引退」という変化の少ない「3ステージ型人生モデル」から、一人ひとりがそれぞれ違う、変化の多い「マルチステージ型人生モデル」に移行していくことになります。 そこでは、これまでの安定した人生モデルとは違う、様々な変化を経験することになります。「変化」には、チャンスと同時に、当然リスクも潜んでいます。そんなときに、誰しもの中に蓄積されている「変身資産」の特徴やバランスを知っていることは、大切な決断や行動を選択する際の大きな支えになるのです。 2つ目は、「VUCAの時代」と言われる、将来の見通しの不確かさです。 社会全体が安定して変化が少ない時代には、一人ひとりの「専門知識」や「専門技術・ノウハウ」などの「専門力」が差別化の大きなポイントでした。 一方、社会の不透明感が高まってくると、「対人能力」などの「コンピテンシー」や「思考力」「処理力」といった「リテラシー」によって構成される「基礎力」が問われるようになります。 さらにVUCA度が高まってくると、一人ひとりの「信念」や「環境適応性」などの「職業的態度」が重要度を増してくると指摘されています。 そんな中でVUCA度が最大限に高まっている現在の社会においては、環境の変化に対応してどんどん変化する「変わるチカラ」がより重要なポイントになってきているのです。 常に新しいことを「学び続け」、柔軟に「変わり続ける」ために、自分自身の「変身資産」の状態をつかんでおくことは、将来のライフシフトに向けても大きな自己発見のきっかけになることでしょう。 そこで、ライフシフト・ジャパンでは、「変身資産」を"見える化"し、より具体的に一人ひとりの体験と紐付けて理解するためのツールとして、「変身資産アセスメント」を開発しました。 その開発プロセスにおいて気づいたのは、人生の変化や変身、転機に際しては、誰の中にも「変化を前に進める要素」と「変化を押しとどめてしまう要素」があるということ。そこで私たちはこの2つの要素を「心のアクセル」「心のブレーキ」として、それぞれ10の項目を紡ぎ出しました。