夫が「部長」への昇進を断りたいと言っています。課長のままより「お給料」は増えると思うのですが、やはりそれだけ“仕事の負荷”も増えるのでしょうか…?
社員が「出世」「管理職」を敬遠する背景とは
パーソル総合研究所の調査「働く10,000人の就業・成長定点調査 2024」によれば、「現在の会社で管理職になりたい」と回答した人の割合は、2018年から2024年の6年間で図表1のように変化しました 図表1
パーソル総合研究所 働く10,000人の就業・成長定点調査 2024より筆者作成 20代から40代のいずれも低下傾向にありますが、30代では特に30.4%から23.6%と、わずか6年の間に2割以上の減少となっています。若年者が「管理職」などの責任の重い役職を敬遠する傾向は、かなり進んでいるといえます。 また、この調査では年代が上がるごとに「管理職になりたい」と考える人の割合が減少していることから、職場で実際に部長などの役職者の働き方や責任の重さを近くで見ている人ほど、自身が「管理職」になることに消極的になっていることも予想されます。 また、「転職サイト比較plus」が行った20代の男女を対象にした「出世欲」に関するアンケートでは、「将来役職者になりたいですか?」という質問に対し77.6%が「いいえ」と回答するという結果が出ています。 出世を望まない理由としては「責任のある仕事をしたくない」「プライベートを大事にしたい」が上位となっており、仕事で重たい責任を果たす充実感よりも、プライベートの楽しみを重視する姿勢が見られます。 キャリアコンサルタントの筆者としては、特に最近、若年者を中心として社会人が「管理職」になることを敬遠するようになっている背景には、社会人の職業観の変化・多様化や「管理職」の業務量・責任の過重化に加え、共働きの夫婦・子どもを持たない夫婦が増えたことで、それほど出世・昇給をしなくてもなんとか生活できるようになってきたことも影響していると思います。 価値観の変化の理由には非常に多様な要因が考えられ、そのために「これ」という解決策を提示することは困難です。優秀な管理職の確保が課題である企業としては、これまで以上に知恵を絞っていく必要がある時代がきているといえるでしょう。