大雪で店がぺしゃんこに…「ニトリ」創業者は“キズ物になった家具”をどう売り切ったか
あなたの「人生最大のピンチ」は何だろうか。想定外の事故で大けがを負った、株価の大暴落で資産を溶かしてしまった、パートナーに“嘘”がバレてしまった……。人生にはどこに“落とし穴が”あるか分からない。「偉大なる先人」たちの実際にあったエピソードから、ピンチを切り抜けるアイデアを探る。 (前後編の前編) *** ※以下、『一流は何を考えているのか』(西沢泰生著、Gakken)の内容より、一部を抜粋/編集してお伝えする。
ニトリの創業者の大ピンチ。開店前に商品のほとんどがキズ物に!
家具・インテリア用品の販売で知られる株式会社ニトリ。これは、同社の創業期に発生した大ピンチの話。 北海道に、日本初のエアドーム店舗を作ったときのこと。オープン直前の大雪によって、ドーム店舗は屋根が落ちてぺしゃんこに。用意していた新品の家具は、そのほとんどがキズ物になってしまいました。
「オール1」なのに母が喜んだワケ
札幌市に本社を置く株式会社ニトリは、創業社長の似鳥昭雄さんが一代で築き上げた会社です。 この似鳥さん、子どもの頃から悪知恵がはたらく……ではなく、機転の利く子どもだったそうで、小学生の頃のこんなエピソードが残っています。 通信簿でオール1を取ってしまった似鳥少年。「これは、怒られる」と思い、お母さんにこんなことを言ったとか。 「お母さん、やったよ! 5段階で一番いい1を取ったよ!」 これを聞いたお母さんは大喜び。なんと、その後、このウソは3年間もバレなかったそうです。
似鳥氏が大ピンチをチャンスへと変えた方法とは
そんなアイデアマン(? )の似鳥さんが、のちに大企業となる家具センターの1号店を北海道札幌市の北区に開業したのは1967年のこと。 この1号店のネーミングがまた、アイデアに満ちたものでした。その名も、「似鳥家具卸センター北支店」。 このネーミングについて、似鳥さんは、こんなふうに言っています。 「まず、店名のなかに、『卸』と入っていることで、お客さんは『値段が安い』というイメージを持ってくれる。次に『センター』と入っていることで、勝手に大きな店を想像してくれる。最後に北支店とあることで、『いくつかある支店の1つなんだな』と思ってくれる」 実際には小さな店舗だったのですが、お客さんをダマす……ではなく、お客様のイメージを膨らませる工夫を店名に盛り込んだのですね。 ちなみに、同社の家具が安いのは、自社グループ内で「海外原材料の仕入→現地生産→輸入→店舗販売→商品配送」までを行なっているから。つまり、間でマージンを取る業者 がいないので、お買い得価格を実現できているのです。 さて、そんな似鳥社長にとって大きなピンチとなったのが、日本初のエアドーム店舗を開店したときでした。新品の家具をそろえて、「あとは開店するだけ」と、そこまで用意したところでの大雪。エアドームの屋根の崩壊です。