街中に広がる〈十和田市現代美術館〉と、市内に点在するアートな建築【青森でアートを巡る旅へ】
ブラジル出身のアナイス・カレニンは薬効のある植物と人との関わりや、東北地方に自生する植物をリサーチし、展示室と庭に作品を設置した。展示室の作品からは人間による経済的利益を優先した森林管理のために国内で減少した植物から抽出した香りが広がる。日本で戦後、建築資材として大量に植樹された杉をモチーフにした作品もある。人間が植物を“活用”することについての考察から生まれた作品だ。
〈十和田市現代美術館〉
2008年開館。設計:西沢立衛。主なコレクションにジム・ランビー、フェデリコ・エレーロ、椿昇など。青森県十和田市西二番町10-9。9時~17時(美術館、カフェとも)。月曜休(月曜が祝日の場合は、その翌日) 、年末年始。展覧会『野良になる』は2024年11月17日まで。一般 1800円ほか。公式サイト
●〈十和田市現代美術館〉から街中に広がるアート
〈十和田市現代美術館〉とその向かいにある「アート広場」は2010年に「Arts Towada」として整備されている。美術館の前の通りには劉建華(リュウ・ジェンホァ)や市民図書館の敷地内には鈴木康広によるストリートファニチャーが置かれていて、座ることもできる。美術館から歩いて8分ほどのところにある《space》は現代アートチーム「目[mé]」の作品でもあり、若手作家の作品を展示するギャラリーとしても使われているスペースだ。
●アートを展示する街中の商店〈松本茶舗〉
〈松本茶舗〉は茶器や津軽塗の器、茶を販売している商店だが、過去の〈十和田市現代美術館〉企画展のまちなか展示の会場となったことを機にアートの展示も行っている。ごく普通の商店に入っていくと、商品のディスプレイに混ざってアートがひょっこり現れるのだ。
毛利悠子の作品は、彼女が2018年に〈十和田市現代美術館〉で行った個展の際に設置されたもの。中古のティンパニなどが組み合わされて水が循環するオブジェとなっている。テーブルの上の器の作品は〈松本茶舗〉の倉庫に眠っていたデッドストックを組み合わせたもので〈松本茶舗〉の作品。器の縁を水で濡らした指でこすると音ができる、グラスハープの原理を応用した作品だ。