次期トランプ政権の関税政策をあまり気にするな
さて、今年の有馬記念はどうすべきか。オッズは低くなるけれども、ドウデュース(1枠2番)から買って年の瀬の大団円に期待を寄せるべきか。それともあえて逆らって、「高め」の馬券を追い求めるべきか。 筆者の本能は「逆らいたい!」と叫んでいる。いや、確かにドウデュースは強い。ダービーではのちの世界最強馬、イクイノックスに勝っている。鞍上の武豊騎手との息もピッタリで、そのことは11月のジャパンカップ、10月の秋の天皇賞勝利が雄弁に物語っている。
しかし年の瀬の大一番、日本列島が物価高騰に揺れた一年の締めくくりには、低い配当に甘んじるよりはリスクを選好したくなる。 こう考えたのだが、なんと執筆後、ドウデュースが右前肢ハ行のため、出走取り消しとなってしまった。幸い「逆らいたい!」という本能に従ったこともあり、ドウデュースが出走取り消しとなっても結論は変わらない。 ここで思い出すのは、有馬記念を連覇したシンボリクリスエスの雄姿だ。2003年、有馬記念終了後の中山競馬場、4歳で引退式を迎える「漆黒の帝王」に向かって、「まだやれるぞう!」と誰かが叫んでいた。ファンは「スターホースがもっと走るのを見たい」と願い、馬主さんは「怪我をする前に種牡馬として残したい」と考える。引退式のたびにそんな葛藤が走る。ドウデュースの馬主さんも苦渋の選択であったことと拝察する。
そのシンボリクリスエスが残した血筋がエピファネイアであり、その子が今年の有馬には2頭出走する。ダノンデサイル(1枠1番)とブローザホーン(2枠4番)だ。菊花賞が惜しいレースとなったダービー馬、ダノンデサイルに夢を託したい。 ※ 次回の筆者は小幡績・慶應義塾大学院教授で、掲載は12月28日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
かんべえ(吉崎 達彦) :双日総合研究所チーフエコノミスト