次期トランプ政権の関税政策をあまり気にするな
ところで8年前に比べると、「トランプ・ウォッチング」は格段に情報量が豊富になっていて、しかも作業が楽になっている。現在であれば、最高の判断材料は12月8日、NBC放送の”Meet the Press”でトランプさんが選挙後初のインタビューに応じていることだ。ありがたいことに、全編をユーチューブで見られてしまう(Full interview: Donald Trump details his plans for Day 1 and beyond in the White House) 。
これを通して見ると、今のトランプさんは意外と「まとも」なのである。いや、もちろんいつもどおりハチャメチャなやり取りもあるのだが、「選挙戦モード」から「統治モード」へと変身を急いでいることを確認できる。 筆者が注目したやり取りをいくつかご紹介しよう。 * (あなたは政敵への報復を求め、ジョー・バイデン氏を追及するのか? ) 私は本当にこの国を成功させたいと思っている。過去には戻りたくない。私は成功を通して復讐するつもりだ。
* (1/6事件で有罪判決を受けた者たちに恩赦を与えるという公約もあるが? ) 私は非常に迅速に行動するつもりだ。「最初の100日目」ではない。初日にだ。 * (パウエル議長を交代させようという考えはあるか? ) その予定はない。 * (関税は家庭の負担増にならないと保証できるか? ) 保証はできない。だが、前政権のときにはインフレは起きなかった。関税はわれわれを豊かにする。 * 私は「国境問題と食料品」(the border and groceries)で勝利した。「最初の100日間」は物価、国境問題、閣僚候補の承認に焦点を当てる。
■トランプ氏の優先順位は物価引き下げと不法移民問題 特に重要なのは、「私は『国境問題と食料品』で勝利した」という自己認識だろう。つまり有権者は、バイデン政権下で発生した「不法移民問題とインフレ」に腹を立てていた。選挙戦のカギを握っていたのは経済問題であり、それについてカマラ・ハリスさんよりも、トランプさんがより信頼されていたということだ。 となればトランプさんは、不法移民問題に対処するとともに、物価を下げなければならない。何よりアメリカ経済を悪化させてはならないのだ。トランプ次期政権の優先順位はまさにそこにある。関税をあんまり気にしちゃ「負け」ですぞ。