「指ポキポキ」鳴らすと変形する?実は問題ない? 専門家が指摘するキーワードは「気泡」だった
従来の考えでは、気泡が生じた後に「気泡が弾ける」タイミングで鳴るとされていましたが、この研究が明らかにしたのは「気泡が生じる」タイミングで鳴るということでした。 意識して指を鳴らしてみると、指をひねった瞬間に音が鳴っています。 井尻さんは「もし、気泡が弾けて鳴る音だとすると、一瞬タイムラグが生じるはずですよね。けれど瞬時に鳴っていることもあり、私もこの論文の機序は正しいと思います」と話します。 さらに、一度鳴らした関節がしばらく鳴らなくなる経験をしたことがある人もいるかと思います。これについて井尻さんは「関節内に関節液の蒸気が充満して圧力が上がり、関節を引っ張っても圧力が下がらないために気泡ができないから、と説明できると思います」とします。 ■「他人に首をひねってもらう行為はやめた方が良い」 もう一つ、首について。「首が鳴る原理も指が鳴る原理と同じ可能性が高い」と井尻さん。首の骨の「頚椎(けいつい)」の後ろにある「椎間(ついかん)関節」が引っぱられて鳴っているのでは、と推測しています。また、指は一度鳴らすとしばらく鳴らないのに、首は「ポキポキポキ」と数回鳴りますが、これは「椎間関節が複数個あるためと思われます」と井尻さんは話します。 実は、井尻さん自身もずっと首を鳴らしてきたそうです。 その井尻さんは50歳の時に軽い脳梗塞を患いました。50代以下の脳梗塞の原因として、頚椎の中を通る椎骨(ついこつ)動脈の解離で、血栓が飛ぶことが多いとされています。井尻さんの場合もそれが原因でした。 首を過度にひねることで血栓が飛ぶという報告がいくつもあるといいますが、その要因の全てが首ポキポキだとは断言できないといいます。井尻さんはすぐに回復し、いまだに首を鳴らしているといいますが、念のために優しく鳴らすように心がけているそうです。 ただ、「首ポキポキは、場合によっては動脈を傷つける可能性があります」と井尻さん。