「コリアディスカウントでなくデストラクト水準」…トランプ・不況に「戒厳騒動」まで重なった韓国産業界
「6時間戒厳令」事態で韓国産業界は夜中に為替と株式市場、海外顧客の反応を心配しながら4日の朝を迎えた。世界的な不況とトランプ米大統領時代の不確定性という外部要因に続いて「非常戒厳騒動」という国内のセルフ悪材料までが重なった。 産業界によると、昨夜の非常戒厳騒動で国内の主要大企業役員らは睡眠も取れずに出勤した。一部の企業の役員らが夜中に出勤し、国内外の影響を注視した。特に政府・国会への対応を担当する部署の役職員らは夜中に与野党補佐官らに連絡しながら国会の状況を随時把握するのに注力したという。 戒厳は終了したが、為替レート急騰による企業の財務リスクは残った。4日午前、権五甲(クォン・オガプ)HD現代会長は緊急社長団会議を開き、「国内外の緊迫した動きが予想され、各社の社長は非常経営状況に準ずる認識を持つ必要があり、特に為替レートなど財務リスクを集中的に点検してほしい」と指示した。SKグループも4日午前、崔昌源(チェ・チャンウォン)スペックス追求協議会議長の主管で主要経営陣が出席した対策会議を開き、市場およびグループに及ぼす影響などを議論する予定だ。 株式市場は「コリアディスカウント(韓国株式市場低評価)」を越えて「コリアデストラクト(destruct、破壊)」懸念まで出ている。 経営環境の悪化と業績不振ですでに国内の大企業と持ち株会社の株価が落ちるだけ落ちた状況で、突然の戒厳悪材料までが発生し、大企業では「いっそのこと株式市場を一日休むのがよい」という声までが出てきた。コリアディスカウントで企業が株主還元とバリューアップに苦心する中、海外投資家が最も敏感になる「予測不可」状況が実際に生じたからだ。韓国に進出した多国籍企業の韓国支社長は本社から「韓国の状況はどうか」「異常はないのか」という連絡を受けている。 海外株式市場に上場した韓国企業の株価はすでに打撃を受けた。ニューヨーク株式市場に上場したクーパンの株価は戒厳令宣布後に一時9.8%下落したが、国会が戒厳解除決議案を可決した後にやや回復し、3.74%の下落で取引を終えた。米国預託証書(ADR)形態でニューヨーク株式市場に上場したポスコホールディングス(-4.36%)、KB金融(-1.6%)、SKテレコム(-1.63%)なども株価の下落を免れなかった。韓国株式市場は取引開始直後にサムスン電子、LGエレクトロニクス、SKハイニックスなどが2-3%ずつ下落し、10時現在は横ばいだ。 安全への懸念もある。24時間生産稼動中でラインが停止すれば被害が大きい半導体業界も夜間の操業状況を見守りながら緊張の夜を過ごした。社屋が汝矣島(ヨイド)にあるLGエレクトロニクスは集会や騒動を懸念し、汝矣島ツインタワー勤務者に4日の在宅勤務を勧告し、少数だけが出勤して仕事をしている。 米国の対中国高帯域幅メモリー(HBM)・装備輸出追加制裁などで不確実性が高まる半導体産業はもう一つの障害にぶつかった。米商務省が20日に発表した対中輸出制裁で打撃を受けた韓国半導体装備企業は今日、産業通商資源部と懇談会をする予定だったが、中止になった。韓国企業の輸出など産業に及ぼす影響と業界の状況を共有し、政府レベルの対応も議論しようとしたが、夜中の戒厳騒動でこの日程も無限延期になった。 国内半導体産業支援案などを含む半導体特別法は当初の目標だった先月の本会議での処理が不発となり、今月また目標日程を決めたが、戒厳騒動直後にこれも不透明になった。産業部の関係者は「暫定的に日程を決めたが、今は国会の状況を眺めなければいけない」と話した。