プレイバック2024 知床・観光船沈没事故 家族の一年 消えない悲しみ
HTB北海道ニュース
シリーズでお伝えしている「プレイバック2024」。 事故から2年目を迎えた、知床の観光船沈没事故を振り返ります。 今年明らかになった乗客が最後に見た風景、そして舞台は司法の場に移り、家族の悲しみが消えない日々を追いました。 厳しい冬を迎えた斜里町ウトロ。 2年前のあの日、知床の絶景を楽しもうと観光船「KAZU1」に乗り込んだ乗客たち。 船には子ども連れの家族など乗客乗員26人が乗りその後、沈没しました。 この写真を撮影したのは事故で亡くなった乗客のぬで島(ぬでは、木へんに勝)優さん。 週末の休みを利用して千葉県から旅行で知床に来ていました。 優さんの父親「つらいのは毎晩温かいお風呂に入ってるときですね息子は死ぬ間際にどれだけ冷たい思いをしていたんだろうなって風呂に入ると 毎晩 泣いてますよ、今でも」 事故から2年以上が経った今年8月。
慰霊を兼ねて、知床半島でボランティアで捜索していた羅臼町の漁師桜井憲二さんらが、優さんのデジタルカメラを発見しました。 優さんの父親「こんなにさびちゃっているね」 優さんの母親「このストラップだ。これ優のだ。優のだ。冷たかっただろうね。きっとこういう感じで絶対離さなかったと思うんです。最後まで離さなかったんじゃないかなと。(息子が)見つかって引きあげるときに岩のところに落ちたんじゃないかなと私は想像します」 両親は、東京の専門業者にデータの復旧を依頼し、700枚以上の写真の取り出しに成功しました。 「やっぱり雄大な自然をね。たくさん撮っているね」 復旧した写真の中には事故当日の優さんの姿も。
優さんの父親「ああ、優だね」 優さんの母親「どこだろうここは。ここが泊まったところかな。誰かに撮ってもらったのかな」 復旧できたのは写真だけではありませんでした。 事故当日、出航からおよそ30分後の午前10時33分、「カムイワッカの滝」で動画も撮影されていました。 そして、これが優さんが最後に撮影した写真。 知床半島の先端付近で撮影され船が折り返す途中だったとみられています。 優さんのカメラを発見した捜索ボランティアの隊長である桜井さんはこの日、復旧できた写真を初めて見ることができました。