来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員
(ブルームバーグ): 日本銀行の中村豊明審議委員は6日、来週の金融政策決定会合で追加利上げの決定をするのは尚早だとの見解を示した。札幌市内で記者会見した。
中村氏は、13ー14日に開かれる金融政策決定会合で追加利上げや国債買い入れの減額が決まる可能性を問われ、「そういう話題も出るとは思うが、利上げは早いと思う」と語った。
一方、国債買い入れは「経済の回復状況に応じて出口に向けて時間をかけて減額を進めていくことが適当だ」とし、現状は「金融市場の状況や企業活動を含む経済情勢をモニタリングしている段階だ」と説明。日本経済が強い状況にはない中で、減額に伴う金利上昇の可能性もあり、「どのような影響が生じるのか慎重に考えながら方向を決めていく。私自身はニュートラルだ」と述べた。
日銀は3月に17年ぶりの利上げに踏み切ったが、中村委員は「業績回復が遅れている中小企業の賃上げ余力が高まる蓋然(がいぜん)性を確認するまで継続すべきだ」として反対票を投じた。市場では早期の追加利上げや国債買い入れの減額に対する思惑が強まっているが、中村委員は情勢を見極めていく段階とのハト派的姿勢を明確にした。
国債買い入れを巡っては、植田和男総裁が同日の参院財政金融委員会で、3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認していると説明。「今後大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当であるというふうに考えている」と述べていた。
中村氏は根強い円安基調に関しては、輸入物価が上昇している中で「経済・物価に影響を及ぼす重要な要因になってきた」と指摘。急速かつ一方的な円安は日本経済にとって望ましくないとしつつ、利上げによる対応は「需要抑制による相応のマイナスの影響も考慮する必要があり、軽々に金融政策で対応できるものではない」との認識を示した。
千載一遇のチャンス
同日午前の札幌市金融経済懇談会の講演では、「当面は現状の金融政策の維持が妥当」と発言。今春闘における賃上げが33年ぶりの5%台と高い伸びになっているものの、家計の購買力は依然として弱く、所得から支出への前向きな循環メカニズムの強まりには「実質賃金のプラス転化に加え、可処分所得のしっかりとした増加が必要と考えている」と語った。