<地下鉄サリン20年>オウムの本質はサリン事件の頃と「変わらない」
事件から20年 引き続き入信者が
オウム真理教が引き起こしたサリン事件から20年経過したいま、リアルタイムで事件を見た人はだんだん少なくなってきています。特に、若者の中には、オウムといってもピンと来ない人も多いでしょう。オウムは、例によって騙しのテクニックを使ってそういう若者を組織に取り込んでいるようです。 公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」(2015年1月発行)を見ると、国内の信徒数は、出家と在家を併せて1650人(2014年11月末現在)いるそうです。教団名を秘匿してヨガ教室やイベントを開催し、神秘の世界に興味を示す若者を巧みに引き込んでいるといわれます。 信徒の数は、ここ2年間はほぼ横ばいでしたが、2014年は、北海道や近畿地方でかなりの数の新しい信者を獲得し、増加傾向です。
外国政府はオウムをどう見ているか
オウム真理教が地下鉄・松本両サリン事件を起こしたことは、世界中を震撼とさせました。これは大量破壊兵器を使用した明らかな無差別型のテロ行為であり、これを実行したオウム真理教を明確にテロ組織と認識したのです。 米国政府は、1997年10月、オウム真理教を「外国テロ組織」(FTO:Foreign Terrorist Organizations)に指定しました。「外国テロ組織」に指定されると、信徒の米国入国が拒否され、米国内の資産も凍結されます。この制度では、5年間テロを起こさなければ指定が解除されることになっていますが、オウム真理教の場合は、指定後18年経っても解除されていません。米国政府も、指導者麻原の危険な教義を今後も厳格に監視していく必要があると述べています。 また、米国国務省が毎年発行している「テロリズムに関するカントリー・レポート」(Country Reports on Terrorism)は、オウム真理教はロシアにも160人ほどの信徒を抱えていると報告しています。かつて、教団の幹部がロシアで武器の実射訓練を受け、戦闘用にヘリコプターを購入するなど、ロシアとの関わりにも深いものがありました。特に注目されたのは、2000年7月に発覚した、ロシア人信徒3人による武器不法所持事件(シガチョフ事件)です。ロシア連邦保安庁の調べでは、ロシア人信徒3人は、日本の拘置所にいる麻原を奪還しようと計画し、日本で連続爆弾テロを起こそうとしたとのことです。