箱根駅伝だけなぜ特別? 有識者が語る、“ナイキ旋風”以降の箱根とシューズの関係
WWD:選手が箱根の主役であることは大前提だが、改めてシューズを切り口にした箱根観戦の楽しみ方や、ランニングへの取り組み方などについて教えてほしい。
藤原:選手が履くシューズのために開発された最先端技術は、ゆくゆくは必ず一般向けのシューズに落とし込まれていく。ランナーではない人が履いている普段履きスニーカーのソールのフォーム素材が、実はスーパーシューズ用に開発されたものだった、ということがあり得る。誰もが必ず技術を満喫する日が訪れるので、無関係ではない。そう思って箱根の選手たちのシューズを観察すると、これまでとは違う興味もわいてくるのでは。
皆さんにはもっと気軽に走ることを楽しんでほしい。日本人は走るとなったらいきなりフルマラソン!という感じで、走ることのハードルが高い。5キロメートルの大会なら、練習不要で多くの人が明日にでも完走できるが、5キロの大会に出ることがどうも共感されづらいのが日本。24年の東京マラソンの参加人数は約3万7000人だったが、ぜひ6万人規模の大会になっていってほしいし、5キロの部も設けてほしい。ゴール地点をフルマラソンと同じに設定した5キロだったら、応援に来た人が思わず走ってしまうなんてことがあると思う。走ること自体は心にも体にもとてもいい。僕自身が、日々それを深く実感している。ランニングが選手や一部の人だけのものではなく、草の根のカルチャーとして日本に根付いていけばいいなと思っている。
【参照】箱根駅伝での
シューズ着用シェアの推移
出典:アルペングループマガジン
2016 1位 ミズノ 35.7%、2位 アシックス 28.6%、3位 ナイキ 18.1%、4位 アディダス 16.2%、5位 ニューバランス 1.4%
2017 1位 アシックス 31.9%、2位 ミズノ 25.7%、3位 アディダス 23.7%、4位 ナイキ 17.1%、5位 ニューバランス 1.9%