開業13年目のFPが仕事で使う「危ない投資」の見分け方。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
■新たなAT1債が発行
余談となるが、この記事を書くに当たって情報を集めていたところ、クレディ・スイスを救済買収したUBSグループがAT1債を発行していると報じるニュースを目にした。昨年11月に35億ドルを調達するにあたって10%程度の利回りで発行したという。繰り返すが、クレディ・スイスではなくUBSグループだ。 そしてUBSグループのAT1債は超のつく大人気で360億ドルも申し込みがあったと知り、ずっこけそうになった。発行額に対して10倍以上の申し込みが殺到したことで利回りは10.25%から9.25%に下がったという。ドル建てのためクレディ・スイスのAT1債と単純な比較はできないがそれでも高い。 (UBSがAT1債発行、クレディS債の無価値化後で初-需要旺盛 - Bloomberg 2023/11/8) UBSグループの格付けは執筆時点でS&PがAー(シングルエーマイナス)をつけている。決して低くはなく、格付けの高さと利回りの高さで人気だったのだろう。当然、クレディ・スイスのトラブル後で投資家は「分かった上で」申し込んでいることは間違いない。ざっくり調べた程度だがUBSがいかに優れた金融機関か、という情報は山のようにある。 とはいえ状況証拠から判断する方法で考えると「なんでそんな優良企業が9%なんて高い利回りで資金調達してるの?」ということになる。バカな筆者はその理由が分からないので、あくまで個人の感想だがとても買いたいとは思わない。 今回のトラブルを今後の資産運用に役立てて頂ければと思う。 中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー シェアーズカフェ・オンライン編集長
【プロフィール 中嶋よしふみ】
2011年にFPのお店、シェアーズカフェを開業。保険を売らず有料相談を提供するFP。共働きの夫婦向けに住宅を中心として保険・投資・家計・年金までトータルでプライベートレッスンを提供中。「損得よりリスクと資金繰り」がモットー。東洋経済・プレジデント・日経DUAL等のメディアで連載、執筆。新聞/雑誌/テレビ/ラジオ等に出演・取材協力多数。2013年、士業・専門家が集うウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインを開設、翌年よりYahoo!ニュースに配信を開始。専門家向けに執筆指導も行う。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」「一生お金に困らない人 死ぬまでお金に困る人(大和書房)」。お金より料理が好きな79年生まれ。
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