開業13年目のFPが仕事で使う「危ない投資」の見分け方。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
■10%近くの利回りは高すぎる。
筆者がトラブルが起きる前にAT1債を知ったとしたら、サギじゃないのか?と疑うだろう。海外の商品であっても10%近くの利回りはそれだけ利回りが極端に高い。 一般的に企業が発行する債券、社債は国債より利回りが高い。なぜなら国よりも会社の方が潰れやすいからだ。ハイリスク・ハイリターンの原則から、同じ国内で比較すれば国債よりも安全な社債は通常存在しない。そのため国債の金利はリスクフリーレート、つまり「リスクを取らずに得られる利益の上限」として資産運用の基準となる。 例えば執筆時点で、楽天証券のサイトで外国債券のページを見ると、アメリカの超大手企業の社債とアメリカの国債が並べて表示されている。 アップル、ディズニー、コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンと誰もが知る企業の社債利回りは概ね4%前後だ。一方でアメリカ国債は一番低い3.70%となっている。 格付けや債券の種類等によっても大きく変わるためかなり乱暴な比較になるものの、利回りはさきほど説明した社債の方が国債より高い、という関係になっている。いずれも格付けの高い社債であるため、国債との差はごくわずかだ。国債と社債との利回りの差を「スプレッド」と呼ぶ。 楽天グループのドル建ての社債利回りが10%を超えていて大丈夫なのか?と一時話題になったことがある。社債の利回りが高い、スプレッドが大きい理由は、デフォルト・債務不履行、つまり会社が潰れる可能性が上記のような優良企業より高いと投資家に判断されているからだ。 昨年末の時点で楽天グループの発行体格付けはアメリカの格付け企業S&PでBB(ダブルビー)とされており、これはジャンク債とかハイイールド債と呼ばれる水準だ。 楽天グループは楽天モバイルの赤字で財務状況が大幅に悪化しており、利回りが高い理由は「高い利回りを約束しないとお金を調達できないから」「投資家から見れば楽天にお金を貸すことはハイリスクだから」という説明になる。 (参照・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社 発行体格付け一覧 2023年12月31日時点) ではクレディ・スイスはどんな状況だったのか。
【関連記事】
- ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
- ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その2・10年後の金融資産は4750万!(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
- ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その3・大学卒業時点で返済は実質的に終わり(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
- ■変動金利は危険なのか?(中嶋よしふみ FP)
- ■ジャニーズ事務所・東山紀之さんのコメントは、テレビ朝日と日本テレビによる報道倫理違反の可能性がある。(中嶋よしふみ ウェブメディア編集長)