能登半島地震から1年...専門家がアドバイスする「災害時のスマホ活用法」 4つの事前準備も忘れずに
震源に近い地域ほど、スマホの緊急地震速報で知った
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(防災・子ども・シニア調査担当)に話を聞いた。 ――能登半島地震は、千葉県に住む私も正月の団欒中に自宅のテレビで知りました。しかし、震源に近いほどインターネット経由で知った人が多いのはなぜでしょうか。しかも、石川県だけがインターネットがテレビを上回ったことも不思議です。地元テレビ局が災害を放送できなかった事実もないし。 水野一成さん 能登半島地震では、揺れが強かった地域に「エリアメール・緊急速報メール」が発信されています。今回の調査(最初に地震の情報に接した方法)から主に3つのパターンが想定されます。 まず、(1)その時間にテレビを見ていた人は、テレビで緊急地震速報を見た、あるいはその後の報道で地震を知った人(このパターンが一番多い)、あるいは地震の揺れを感じてテレビを見た人。 (2)緊急地震速報が出された地域(震源に近い地域)で、スマホで速報を受信した。 (3)緊急地震速報は受信せず、テレビも見ていなかった人の中で、インターネットを閲覧する中で地震を知った人。あるいは地震の揺れを感じて、スマホで情報を取得した人。 特に(2)については、震源地から近い人ほどその傾向が高いと思われます。石川県をはじめ、震源に近いほど最初に接した手段はインターネット経由が多い結果でつながったと推測されます。
地元自治体の防災アプリをぜひスマホに
――なるほど。テレビで知った地震情報をその後、サイト閲覧やSNSなどを使ってインターネットで詳しく調べた人が多かったですね。 水野一成さん 過去の調査結果でも「災害情報をテレビで受信した後にインターネット経由で情報を調べた」ケースが半数を超えています。 一方、「スマホで第一報を知った人がテレビで再確認する」ケースも約7割です。テレビとスマホ、双方を活用して、より詳しく災害情報を得る動きが広がっています。 テレビで全体の概要を知り、その後ご自身の知りたい情報(住まいの地域、別居家族が住んでいる地域など)をスマホで検索したと思われます。また、外出している場合は、テレビにはアクセスできないため、インターネットで確認しているかと思います。 ――「データで見る防災ガイド」には、多くの参考になる情報が掲載されていますが、スマホに関して特に重要で役に立つ使い方が何でしょうか。 水野一成さん 当ガイドにも記載しましたが、「災害時の連絡方法をご家族で確認する」「安否確認ツールの利用方法の確認」「防災系アプリのインストール」「スマホの節電対策」の4つを平時に実施・確認することをお願いしたいと思います。 「家族との連絡方法」では、連絡方法が多様になっています。スマホ操作に疎い高齢の方もいらっしゃる場合は、家族みんなが共通して使える方法を確認すること、またその方法が使えない時に次の方法(プランB)を相談しておくことが肝心です。 「スマホで活用するアプリ」には、スマホに入れておくと安心なアプリがいくつか載っています。アプリによっては、プッシュ通知で情報を受け取ることができますが、偽・誤情報に翻弄されないためにも、地元の自治体やNHK、ドコモなど信頼できる情報元の情報を受信できるよう、ぜひ備えておきたいです。 ――最後に特に強調しておきたいことがありますか。 水野一成さん 通信設備が大混乱して、スマホが使えなくなった時の対策も合わせてお願いしたいです。特に若年層の方は公衆電話の使い方を練習しておきましょう。また、スマホに内蔵しているご家族の電話番号の控えを取っておくことも重要です。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)