静岡県藤枝市、スポーツツーリズムで「稼ぐ地域づくり」、滞在時間の延長や周遊促す仕組みを構築へ
観戦者向けにはユニタビ、事業者向けにはLINE
プロジェクトでは4つの取り組みを進める。 来訪者向けには、ナビタイムジャパンが「ぴあ」と共同運営するアプリ「ユニタビ」を活用して、ターゲットに合わせた情報を発信する。ユニタビは、JリーグのQR観戦チケットと共にスタジアム周辺の観光情報を提供するもの。リニューアルする藤枝市観光協会のウェブサイトと合わせて、地域内のアクティビティや飲食などの情報を提供していくほか、予約のオンライン化を進めていく。 地域の事業者向けには、LINEを活用したコミュニティプラットフォームを構築し、受入態勢の整備に取り組む。事業者も使い慣れたLINE上で、試合開始日や試合時間、チケット販売数や来場者数予測などのデータを提供。事業者側は、これまで勘と経験に頼っていた仕入れなどを、データに基づいて効率化することで、収益性を高めることが期待される。 また、LINEのプッシュ通知によって、事業者はタイミングに合わせたクーポンの発行や広告の展開も可能になる。例えば、試合終了を知らせる通知と共に、お店の開店状況を尋ねる通知を配信。事業者がLINE上で「開店している」「空席あり」などと応えると、その状況やクーポン情報などがユニタビに反映され、プッシュ通知で試合帰りの利用者に送られる。 プラットフォームでは、生成AIを活用したチャットツールを活用することで、事業者の負担を軽減する。ナビタイムジャパンは、そのツールを構築するとともに、藤枝MYFCから提供される各種データの解析を担う。 3つめの取り組みは、輸送手段の効率化。藤枝市内の公共交通機関は脆弱なため、スタジアム周辺では特に試合終了後に渋滞など交通問題が発生していることから、今後はバス、シェアサイクル、相乗りタクシーなどモビリティの選択肢をユニタビでリコメンドしていく。ナビタイムジャパンでは、今回の実証を通じて、周遊データを収集・分析することで効率的な移動の支援を目指す。相乗りタクシーでは、静鉄タクシーと連携し、ユニタビでマッチングできる仕組みを構築する計画だ。 さらに、藤枝市民大学など地域の教育機関とともに、デジタル人材の育成と活用にも取り組む。