「インボイス制度」は百害あって一利なし!? 消費税のウソとホントを暴き出す!
多くの自営業者やフリーランスの反対の声もむなしく、昨年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)。自分とは無縁と思っていた会社員など給与所得者でも、経費精算などの事務作業が面倒になったと感じている人は多いだろう。 【書影】『インボイスは廃止一択 消費税の嘘がよくわかる本』 実は、この制度は税の公平性を保障しないばかりか、社会を支えていた事業者の多くを苦境に追い込み、しかも20%超の消費税率の呼び水になる可能性が高いという。そう喝破する『インボイスは廃止一択 消費税の嘘がよくわかる本』の著者である犬飼淳さんに、その真相を聞いた。 * * * ――インボイス導入のひとつの理由は、私たちが払った消費税を国に納税していない事業者が多いので、そうした事業者にもしっかり納税させて、税負担の不公平を是正するためといわれていますが、違うのでしょうか? 犬飼 それは「事業者は消費者から消費税を預かっている」という認識に基づくものですが、正確ではありません。 国税庁が「消費税は預り金」などと啓発するポスターを何度も作製していますから、ある意味で"教育"がよく効いてしまっているのでしょうが、実は国と自民党が違うと認めています。消費税導入直後の1989年に起こされた裁判で、国は「消費税は消費者からの預り金ではない」と断言しているんです。 ――しかし、買った商品のレシートには、私たちが払った税額と税率が明記されていますよね? 犬飼 レシートに消費税額が記載されているのは、総務省がそのように義務づけているからに過ぎません。商店などの事業者が消費税額を見越した価格に設定するかどうかは、あくまでも事業者の裁量にかかっています。 事業者は売り上げにかかる消費税から、仕入れや経費にかかった消費税を差し引く「仕入額控除」を行なって消費税を納税しているので、レシート記載の消費税額をそのまま納めているわけではありません。 89年の裁判で、国は「事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部」であり、結果として免税事業者の手元に消費税相当額が残ったとしても、それは「取引の対価の一部」であり、「税額の一部を横取りすることにはならない」と明言し、裁判所もおおむねこの主張を認めています。「消費税は預り金」という言い分は、当の政府によって否定されていたんです。