「インボイス制度」は百害あって一利なし!? 消費税のウソとホントを暴き出す!
――それはなんでしょうか? 犬飼 さらなる増税です。 例えば、インボイスが導入されているフランスでは、標準税率が20%、レストランでの食事は10%、書籍は5.5%、新聞は2.1%などと、税率が細分化されています。 日本におけるインボイス導入は、支持基盤となる業界に「軽減税率」というエサをまきつつ、ヨーロッパ諸国並みの20%を超える高い消費税率を実現させるための方策だと考えています。 日本では新聞にすでに軽減税率が適用されており、そのエサが効いているのか、各社ともインボイスについては政府見解の垂れ流しか、あからさまなミスリードに終始しています。インボイスの導入根拠などについての公式見解を求める公開質問書も送りましたが、ほぼすべての社が大半の回答を避けました。 ――すでに導入から半年以上が過ぎましたが、今後も「廃止一択」を貫かれるのでしょうか? 犬飼 市民団体「STOP!インボイス」が集めたオンライン署名は、現時点で57万筆を超えています。署名の広がりは「30万筆持ってこい」と鼻で笑っていた議員たちを慌てさせ、ついには首相秘書に署名を手渡すまでに至りました。 「数の力」を改めて実感しましたし、インボイスの実態を周知させていくことで、もっと大きな力を得られると確信しています。 ●犬飼 淳(いぬかい・じゅん)1985年生まれ。2018年より、国会答弁を中心に政治に関する論考を発表。2021年からメールマガジン「theLetter」で『犬飼淳のニュースレター』を開始。前職の約10年に及ぶITコンサル経験を生かして、一般市民の生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を直感的・視覚的に理解できるように工夫したスライドで解説している。直近では国立大学法人法、能登半島地震、共同親権など、インボイス以外にも多岐にわたる分野の記事を発表している ■『インボイスは廃止一択 消費税の嘘がよくわかる本』皓星社 2200円(税込)導入以前から数々の問題点が指摘され、日本最多のオンライン署名を集めた市民運動「STOP!インボイス」も起こったインボイス制度。2023年10月1日の開始以降、影響はフリーランスに限らず、煩雑化した経理作業などに悩まされている会社員も多いことだろう。実はこの制度、働く人には百害あって一利なしの増税政策でしかないという。2年間にわたってこの問題に取り組んできた筆者が、わかりやすく解説する 取材・文/柳瀬 徹