メーシーズ元従業員の経費隠し、利益拡大要因の「配送費」が対象
(ブルームバーグ): 米百貨店メーシーズは25日、従業員が意図的に誤った会計処理を行い、1億ドル(約153億円)を超える配送費を隠蔽(いんぺい)していたことを明らかにした。同社は長年にわたり配送費などの削減を通じた利益拡大をアナリストらにアピールしてきた経緯があり、投資家を動揺させている。
同社によると、関与したのは元従業員1人のみで、2021年から最大1億5400万ドルの配送費を隠していた。会社から現金が持ち出されたわけではなく、隠蔽されたのは期間中に発生した総額43億6000万ドルの配送費のうち、ごく一部となる。
メーシーズは、8-10月(第3四半期)決算発表の準備中に隠蔽を発見したとしており、26日に予定していた決算発表は問題を受け延期となった。
同社は問題について調査を開始したとしているが、意図的に誤った会計処理が3年近く見過ごされていた理由について回答を避けた。監査法人のKPMGはコメントを控えている。
メーシーズは従業員の動機や退職時期、退職が今回の問題と関連しているか、法執行機関が調査しているかについて明らかにしていない。元従業員の身元も明らかにしていない。
オンライン販売の配送コスト削減は、売り上げが低迷する中で収益性強化を図る小売業者にとり、近年特に重要な課題となっている。
こうした課題に対し、メーシーズは配送業者の多様化や配送距離の短縮化を進め、8月の決算説明会で前面に出した。
その1カ月後には、取り組みについて最高財務責任者(CFO)のエイドリアン・ミッチェル氏が「粗利益拡大の主要な要因」の一つだとゴールドマン・サックスの年次会議で説明している。同会議には、今年初めに就任した最高経営責任者(CEO)下でのメーシーズの再建計画を聞くために投資家が集まっていた。
最大の逆風
ミッチェル氏は20年にボストン・コンサルティング・グループからメーシーズに入社。それ以来、四半期決算説明会に16回出席し、このうち15回、配送費に言及している。